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2017年9月29日金曜日

春への扉


また読み物を一つ置いておきます。
また美術品を使わせてもらった読み物です。
ゴッホ作の『タンギー爺さん』とヨハネス・フェルメール作の『ヴァージナルの前に座る若い女』を登場させました。





お時間があればお楽しみいただけると嬉しい次第です。
 注 けっこう長いのでお読みになる人は覚悟してください。



     ・春への扉

私は今日も扉を叩く。
開くことのない扉などない。どんなに頑強な扉でも誠意を持って叩けばいつか開くときがくる。そう信じて4日目。今日も扉が開かないであろう予感に、私は逃げ出したくなる気持ちを抑え、扉を叩き続ける。
 鉄を元に作られた扉を叩く音は、高く響くことは無く私の足元に落ちるだけ。落ちた音はきしむ床の隙間を抜け土に沈む。
「おおい、私だ。開けてくれ」
鉄の扉の奥から部屋の主の声が聞こえる。
「また来たの?あなたも暇な人ね」
「暇なもんか。私の店には客が絶えない。それも嬉しいことに彼らには多くの希望があるんだ。希望や夢を抱き、掴み取れる可能性は極めて少ない星に手を伸ばしている。そんな彼らと話をするのは私の楽しみの一つなんだ」
ヴァージナルの音色に女の声が乗る。
「じゃあさっさと帰って夢追い人たちの苦労話でも聞いてあげなさい。そして高い画材を売りつけるの。それがあなたにお似合いよ」
「そんなことは言わないで私の話も聞いてほしいんだ」
何度もこの扉を隔て口論してきたのだから、私にはもうわかっていた。気の強そうな声を出している彼女の内側には、繊細な弦が貼られている。音を出すために弦を弾くのをためらうほどの繊細さ。それを隠すように彼女は声を張る。
「いいからもう帰って。あなたと話すことなんて何もないの」
怒る彼女に聞こえるよう私はもう一度扉を強く叩く。私は人を怒らせるのが得意なのだ。
「君が私と話をしたくないことは知っている。だが私には君に話したいことがたくさんあるんだ。君が考える、君のための理屈が正論として通るこの部屋にいては、君のキャンパスは薄汚れていくだけだ」
私の言葉にヴァージナルの音色は止み、彼女の吐息のような静寂が私を包み込んだ。無くしてしまった家の鍵を一人で探す子供の背中のような寂しい静けさ。
 私は理由もなく下を向き半歩後ろに下がる。すると突然鉄の扉が開かれた。ジンクホワイトに薄くフレッシュピンクを混ぜ合わせた顔色の女性が顔を覗かせている。美を求めるために余分なものを削ぎ落とす前の素朴な顔。一切の色付けがされていないがゆえに、彼女には一欠けらの美しさがあった。
「何?また私に説教でもする気なの?」
彼女は怒っている。その理由は簡単にわかる気がしたが、私はあえてそこから目を逸らす。年老いてまで責任を負うことは、足枷を増やすことと同じだ。生きることにより増えていく足枷は、もう私は増やすことも出来ないほど多く身に着けている。
「説教ではない。それより見てごらん、降り続いていた雨がようやく止んだよ。地上に降り落ちた天からの雫が春の日差しに照らされている。私と少し外を歩かないか?」
彼女は眉間に皺を寄せ皮肉に笑う。
「どうして私があなたと歩かないといけないの? 理由は?」
「理由なんてないよ。ただこんな部屋に閉じこもってヴァージナルの音を奏でているよりは、私と外を歩く方がまだ有意義な時間が過ごせるから誘っているんだ。時には大地が奏でる自然の音を聞くのもいいものだよ。そうすれば殻に閉じこもっているのがきっと嫌になるさ。だからひとまず手を止めて外の空気を吸うんだ」
「それは理由というのよ」
「そうかな?」
「きっとそう」
短い言葉の後、彼女は自分の姿を見下ろす。服にエルテンスープでもこぼしたのだろうか。
「困ったわ?」
私は黙ったまま彼女の言葉の続きを待つ。
「あなたのお誘いに興味を引かれていることは否定できない。たまに外の空気を吸うことも悪くはない。でも駄目ね、この服は私のお気に入りなの。この服を着ていつまた雨が降りだすかもわからない外にお出かけすることは難しいわ。冷たい雨に打たれてこの服を濡らすのも嫌だし、その・・・」
何故か彼女は言い淀んだ。喉を詰まらせたように私を見る。もの目には申し訳なさの影がチラリ。
「何だい。言ってごらん」
彼女の大きな目で瞬きが二回。刹那の瞬間を撮影するカメラのようだ。
「これだけ私にとって悪条件が揃っている中で、それでも私を外へ連れ出すだけの魅力があなたには無いわ。残念なことだけどね」
夜の街に佇む街路灯の気持ちが私の内面と重なる。老いてもなお女性から断られることは辛く悲しい。だが老いとともに得た経験により傷は浅かった。
「それならば私はいないものと思って歩けばいい。私の事は忘れ歩くんだ。そして君は雨が上がった綺麗な道を歩く途中で気づく。こんなに美しい道を歩いているのに私は一人。ガラスの上を弾み踊る水滴のように瑞々しい鳥たちの鳴き声を聞き、君は急に一人が寂しくなる。そして、ひび割れた油絵のような気持ちで君は後ろを振り返る。そこには老人が立っていて、君は仕方なくも私に近づき一緒に歩く。それでいいじゃないか」
鉄の扉から顔を覗かせる女性の顔に好奇心が走り、薄く笑う。
「あなた女性と付き合ったことは?」
「ないよ、私の記憶する限りでは一度もないな。だから妻も子もいない」
女性は扉を大きく開き、顔を崩して笑った。
「でしょ?私こんなに女性を誘うの下手な人初めて見た。もうちょっとカッコいい言葉使わないとダメだよ、お爺ちゃん」
私は貶されたのだろうか。だが笑う彼女の顔に私を毛嫌いするような感情は見られない。私の誘い文句が酷いということは否定しないが、彼女が緊張の糸を緩めてくれたことに安心した。安心が傍らにある時、人生は充実を見せる。
 私は笑い続ける彼女に聞く。
「私の言葉はそんなにおかしかったかな」
「女性を誘ってるのになんだか腑抜けてて、それでいて強気でもあるから、聞いててお腹こちょばされてるように笑えてきちゃって。ごめんね」
小さな窓から差し込む健気な春の日差しと、暗い廊下で一人笑う女性。そのコントラストに私は掃き終えたホウキから宙に舞い出すホコリを重ねた。寂しい美しさ。悲しみはなくともそこには拭いきれない寂しさがあった。
 彼女は腰を折ったまま右手を上げた。
「何か久し振りに笑わせてもらったわ。そのお礼ってわけじゃないけれど、いいわ、一緒に歩いてあげる。何か私に話したいこともあるみたいだし」
「ありがとう」
彼女はようやく顔を上げると私の顔を見て、それから流れるように私の足元まで視線を泳がせた。
「今のは何だい」
ゆっくりと首を振る彼女。
「忠告は必要ないみたいね」
「忠告?」
「そう、悪い事しないようにって忠告よ」
彼女は部屋に半歩足を踏み入れ、振り返った。
「準備してくるから少し待ってて」
鉄の扉の前に再び一人残された私はため息をつく。今の私の姿を最近店によく来る彼ならどう描くだろう。きっと紫と黄緑色を点描させた背景に立つ私には赤と青緑を使い、ため息には青紫と黄色。後の世で後期印象派を代表する画家として知られる彼が描く私に思いをはせ、彼女を待つ。
 十数分後、外出の用意を終えた彼女の手により鉄の扉はまた開かれた。薄暗い廊下に立つことは辛いものがあったが、扉が開き出てくる誰かを待つという希望があると、廊下にも暖炉の暖かさが広がる。存在はしなくとも私を内側から温めてくれる暖炉。
必要としないかもしれないが、この暖かさが彼女にも伝わればいいと私は思う。どんな局面に立つにせよ、内面が暖かい時は幸せに触れていられるから。
 十数分待たされた後、外出の用意を終えた彼女の手により鉄の扉は開かれた。三日ぶりに美味しい紅茶を飲んだかのように、上機嫌に開いた扉の前には先ほどと同じ服装の彼女。万が一の雨にも濡らさないように、服を着替えていると思い込んでいた私は十数分前と一点も変化もない彼女に言う。
「着替えているものとばかり思っていたよ」
「着替えようと服を選んでいたのは確かよ。でも駄目ね、今日は服が私を招いてはくれなかった。こんな日は無理に選ばない方が正解なの」
「その原因にあるのは私かな。扉の前で待つのが素敵な紳士ではなく私であったため、クローゼットに並ぶ数十着の服たちは君に着られることを拒んだ。それはつまりは君の心の表れだ」
「そうじゃないの。確かにあなたが素敵な紳士より見劣りするのは事実よ。まだ誰も突き止めてもいない宇宙の真理のように確たる事実。でもそうじゃない。私は服を招くことが嫌なの。服を着るということは一種の意思表示であって、私という人間を周囲に知らしめる行為に近い。その行為には着る側と着られる側の一致が必要で、私だけの意見で着る服を決めても何だか一体感が出ないの。そんな時はどんなに高級な服でも駄目。美味しくないキャラメルを口の中に放り込んだ気分になっちゃう」
理路整然と服を着ることに対する理念を語っていたかと思えば、突然キャラメルという表現を使う。不思議な女性だ。
「君の言う事は半分理解した。残りは私自身が納得できるまでに時間が掛かりそうだ。だからそれは家に戻ってから考えることにする。それより早く行こう。君の部屋からもこの薄暗い廊下からも抜け出して、春の光を浴びるんだ」
「でもやっぱり雨が降らないか心配だわ」
「心配ないよ。雨が降って来るなら両腕を広げ全身に浴びてやろう。春の雨に打たれることも人生の楽しみの一つなんだから」
「お年寄りって面白い方が多いけれど、あなたは特別ね」
私は隙間風すら吹きそうな老いた胸を張る。
「たくさんのことを経験してきたからね。生きるほどに経験は積まれ、私という個人が確立された。確かに特別なのだろうね。君と同じように」
「私も特別?」
「特別さ。誰だって特別なものを持っている。特別であるがゆえに人は悩み成長していくんだ。わかるかな、悩みを持てることは特別な人間の証なんだ」
不思議そうな顔を見せる彼女を連れ、私は歩き始めた。薄暗く冷たい廊下の先にある春の日差しを求めて。
 外には春の日差しが満ち満ちていた。穏やかで陽気な空気がステップを踏み踊り出す、春という贈り物。毎年我々の元にやって来るのに、どんな筆と絵の具でも完璧に描くことの出来ない、愛しい空気と春の色。
眠くなる甘さに抱きしめられている私の隣で、彼女は冬の布団から起き上がった春のように、眠たげに目をこすっている。
「どうだい、春の肌触りは」
「私にはまだ刺激が強いみたい。春の色彩が靴も拭かずに私の中に入って来る」
新緑から一粒の雫が彼女の髪に落ちた。だが彼女にはその自然のイタズラを気に留める様子はなく、広がる春の隅々に意識を向けているようだった。
春の上に描き出されたような彼女の色彩に私は目を奪われる。自然と美の融合、人類が先の未来まで追い求める芸術品の香りがここに。
「で、どこに行くの?」
私は彼女に聞き返す。
「君の好きな色は?」
質問に質問で返した私に対し、更に質問をかぶせることは意思に反するらしく、彼女は考える表情になった。困惑の色を浮かべているが、それも仕方のないことだ。
 意味不明な老人の質問に、春を見上げながら彼女は答えた。
「青ね。海のような青が好き」
彼女らしい言葉に私はうなずき、新緑が芽吹き生命の音を奏でる並木歩道を指さす。
「ウルトラマリンブルーだね。フェルメールの愛した色だ。それならばあの道を行こう」
「どうして青ならあの並木道なの」
「深い理由はないよ」
彼女は笑い私を見る。
「浅くても理由はあるんでしょう。私はそれを知りたいの」
「答えに焦がれるほど、知った時の落胆は大きいよ。なんだ、こんなつまらない理由だったのかと」
「だから聞きたいの。答えに焦がれ焦燥の吐息を聞く前に」
「困ったな。君はすでに強く答えを望んでいる」
歩き始めた私の後ろを、彼女は風のようについてくる。目を覚ました花々の香りを乗せた春の風のよう。
「ねぇ、教えて」
「君が好きだと言った青と、並木道の色彩関係が美しかった。並木道の黄緑色、そして君の選んだ青。黄、緑、青これらは色彩を表す際に横一列に並ぶ色なんだ。素晴らしい回答だった」
「イランイラン、カモミール、ジャスミンみたいね。横一列に並んでいて互いを引き立て合うの」
「それは何かな?」
三つの言葉の意味や関連性を理解できていない私の反応を見て、彼女はずる賢く笑う。
「アロマよ。フローラル系の香りで私が好きな三種類。代表格のローズやラベンダーもいいけど、やっぱり私はこの三つが好き」
「意外な一面だな。君が香りに詳しいとは」
「人間は多面性の生物よ。ヴァージナルを弾くだけが私じゃないの」
私は後ろを歩く彼女を見る。
「いい日差しだ。春を歩こう」
 私たちは春を歩いた。春の並木道を歩き、春の景色を見て、春の香りを思い切り吸い込む。私たちは成熟前の空気に喜び、キャンパスに薄く暖かい春の色を描いていく。冬の名残を残した冷たい川のせせらぎの音が気持ちよく耳に届き、部屋から出ることを嫌がっていた彼女も春を満喫しているようだ。遠慮がちに手を開き歩く彼女に涼やかな風が吹き、それを受け入れるかのように一人笑う。その姿に私は風にそよぐ一輪の花を思った。
 私は目的の店に行くため街のメインストリートを指で示したが、彼女は首を横に振る。
「久し振りに部屋から出てばかりの私には、まだ人通りの多い道は辛いわ。それより私ちょっと行きたいところがあるの。道案内の役、少しの間だけ変わってもらってもいいかな?」
私の第一の目的は、部屋でヴァージナルを弾き続けていた彼女を外に出してやることだった。それが果たされた今、彼女の好まないメインストリートを歩く必要は何もない。それよりも彼女の道案内に期待を寄せる私がいた。
「いいよ、好きに歩くといい」
「ありがとう」
今日初めて私の前に立った彼女は足取り軽く、街のメインストリートに真っすぐ続く並木道を外れ右に折れた
 並木道を外れた私たちは簡易に舗装された道を歩き、街にクモの巣のように走る路地の一つに入った。いつもは湿っぽいこの街の路地も、今日は春に抱かれ柔らかな表情を見せていた。夕焼けに赤く染まりコーヒーと景色を楽しむ老人の顔のよう。
 彼女はそんな街の路地を足早に歩いて行く。後ろに年寄りが歩いているのも忘れたのか、振り向きもしない。表通りで人気のパン屋の厨房からはブリオッシュを焼く香りが漂い、息を切らしながらも私は好物の香りを吸い込み、水の中を泳ぐように彼女を追う。
 そろそろ音を上げそうになっていた私を気遣ってくれたのか、路地裏の素っ気ない広場の片隅で彼女は足を止めた。広場のベンチには街からあぶり出されたような人間達が座り、それでも陽気に会話をしている。この街の人間は人生に暴風が吹き荒れようと、陽気な心を捨て去らない。自慢の街に座り、自慢の街の空気を吸う。それこそが幸せの形なのかもしれない。街の端で人生の真ん中を歩く彼らから目を離し、私は地味な建物の薄く汚れた壁に耳を寄せる彼女を見る。
「そこで何をしているんだい」
眠るかのように壁に寄り添っていた彼女は目を開き、黙って私を手招きする。早くこっちに来て私と同じようにして、と声を出さずとも私に命じる意志の強い招き。
 苦笑いを浮かべ私は彼女の形を真似、壁に耳を寄せる。目を閉じることまで真似る必要はなかったのだろうが、壁に耳を当てる行為は必然的に目をつむりたくなるもので、私は必然の衝動に歯向かうことなく目を閉じ、壁の内側の音を探った。
 室内からは虫の音のように連続した機械音が聞こえて来た。彼女よりずいぶん長い時間を生きてきたため私にはすぐに音の正体が分かったが、楽しそうにこの音に興じる彼女に要らぬ気を使い、私は答えが分からない振りをした。
「この音は何だい」
彼女はすぐに振り向き私を見る。私と彼女が壁に耳を当てたままの鏡映りの体勢になり、年老いた私は恥じらいを感じたが、彼女は笑って答える。
「わからないの?信じられない。ミシンよ、ミシンの音」
私の予想通りの答えだった。
「ミシンか。それでこの音は何か特別な物なのかな」
小さく頷きかける彼女。こんなおかしな行為を楽しんでいても、彼女から知性の色が抜けないのが私には不思議だった。知性的な人間は何をしても知性を失わず、むしろ研ぎ澄まされてさえ見える。私が持たないものに嫉妬を感じないでもなかった。
「ここはね、ミラノでも有名な仕立て屋さんのお店なの。目が飛び出るような値段の布に躊躇なく線を引いて躊躇なくハサミで裁断する。そして依頼人の身体に合うように細かな調整を積み重ねた上で、ミシンで縫っていくの。私はその音が大好き。理由はないけれど私の内面に染み入ってくる音なの」
私は息をひそめもう一度壁に耳を寄せる。連続して布を縫うミシンの機械音から、彼女の言うものとは違うのかもしれないが、確かに愛しく暖かな音にも受け取れた。耳に続く音がソーダ水で薄めたスコッチのように、ほのかに私を酔わせた。
「どう?」
彼女から発せられた短い言葉も、壁から伝い漏れるミシンの音と同じように私の心を揺らす。恋愛感情ではなく人間的・心理的な感情が彼女に惹かれていることを私は知る。
「うん、落ち着くね。母親が作ってくれたココアのように心が安らぐよ」
彼女は淡い笑顔を浮かべる。
「私子供のころから辛いことがあると、ここに来てたの。そしてスカートが汚れるのも気にしないで座り込んでこの音を聞いていた。なんでだろう、わからないけれどこの音が私の支えだった。枯れ葉のように心が傷んでも、ここに来れば立ち直ることが出来たのよ。私は強くなくたっていい、弱いなら弱いなりに生きていければいいって思えたの」
彼女は言葉を止め、白い手も壁に寄せる。壁に貼りつくような体勢になった彼女の目から乾いた涙が落ちたように私には思えた。
「でも、いつの間にかここにも来れなくなっていた。あんなに好きな音だったのに。空っぽになるほど、空虚な自分が愛しく思えていたのかも。ここに来ちゃ駄目、来たら満たされて前を見る義務に悩まされるって。愛しい音から自分を切り離して、私は安全な私の中に閉じこもっちゃった。そしてそんな自分をごまかすようにヴァージナルを奏でるの。生きているという形を保つために」
私は指の先で壁にこびりついた茶色い汚れを削る。
「どうする?もう帰ろうか」
暗い声を出した私に彼女は笑う。
「ここまで来てどうして帰るの?お爺ちゃんが私を案内してくれるんでしょ。ここのミシンの音も聞けたし、私今日はどこへでもついて行ってあげるわよ」
「そうか、私はてっきり君が落ち込んだものと思っていたよ」
彼女は腰に手を当て私の顔を覗き込む。
「どうして? 私が落ち込むのは朝のスープが美味しくなかった時だけよ」
「私は妻の機嫌が悪い時に落ち込むよ。特に起き掛けに不機嫌な妻を見るのは最低の気分だ」
「あなたさっき妻はいないって言わなかった?」
「ああ、言ったよ」
口を半開きにして固まる彼女に私は言葉を続ける。
「私の頭の中にはしっかりと妻がいるんだ。私がダイニングに画材を持ち込むと妻はいつも怒る。『その油臭い絵の具をここで使わないで』『汚れた筆をテーブルの上に置かないで』とね。妻にとっては私の行動の全てが憎らしいのだろう」
「リビングは奥様の所有地帯なのね」
老人のたわごとにも耳を傾けてくれる彼女に感謝の花を一輪。
「それでも私が席を離れずにいると、妻は怒り私の頭に作りかけのグラーシュを鍋ごとかけるんだ。全く、酷いことだよ。まぁ想像上の妻だけどね」
「おかしな人ね」
「妻の事?」
「いいえ、あなたの事よ」
私は背を伸ばし春を一つ吸い込む。ヒメオドリコソウの香りを運ぶ春の味。
「それならよかった。さぁ、行こう。少し道を戻ることになるがいいだろう?」
「それも悪いことではないわね」
 息を切らせて始まった寄り道で、私たちは安らぎの森に椅子を置き息を落ち着かせ、再び歩き始めた。足は軽く、街には透明な華やかさが満ちているようだった。
 彼女は本当にこの街に来たのは久しぶりのようで、街の至る所に目を向けていた。色を選ばずとも洗練された色合いの街。そんな街が彼女には懐かしくもあり、変わりゆく外観に少し悲しみも感じているように見えた。
 先日オープンした黒を基調としたシックな店内に色とりどりの花を並べた花屋に足を止める彼女。小ぶりな扇を咲かせた花を彼女は愛おしそうに眺めている。
「もう11時だよ。早く行かないと店が混雑してしまうかもしれない」
「待って、この花を買っていくわ」
「帰りに買えばいい。まさか全部売り切れることなんて無いだろうし、花を持ち歩くのも邪魔だろう」
彼女は花屋の女性店員と顔を見合わせた。声を出さずとも伝わる会話をしているようだ。
彼女は首を傾け女性店員はそれにうなずいている。
「花との出会いは理屈では片付けられない神秘性があるの。出会い心惹かれた時に懐に包み込んであげないと駄目。人間と同じね、機会を逃せばどれだけ叫んでも思いは胸に響かない。抱きしめたいときに抱きしめてあげなくちゃ」
色とりどりの花の中に立つ彼女に、私は何も言えずに立ち尽くした。論理的ではないが倫理に触れる彼女の心の指先。あと何十年筆を持てば私はこの透明な美をキャンパスに描くことが出来るのだろうか
 結局彼女は三種類の花を一輪ずつ買い、身体に添わせるように当て私の隣を歩いている。
フランスパンのように花を抱く彼女と、遠くに見えるスカラ座の話をしていると、ようやく私の目的とする店が見えて来た。
「ああ、あった、あった。あそこだよ」
歩道の内側を歩いていた彼女からは店が見えないのか、私の前に顔を出し歩道の左側を埋め尽くす店に目をやる。
「ファッション関係の店しかないみたいだけど、私を案内したかったのってそういう店?服でも買ってくれるつもり?」
私は首を振る。
「そんな気はないよ。よく見てみなさい。ほら、高いヒールの女性が歩いている所」
私が指をさしたネイビーのトレンチレインコートを着た女性に、彼女の目が向けられ、瞬く間に女性から灰緑色の外観のカフェに視線を移した。一瞬しか彼女の視線を奪えなかった、この春最先端のファッションに身を包んだ女性の背中の切なさが私に染み入る。
「この街らしいカフェね」
「あのカフェは創業80年を超えるカフェでサンタンブロージュという店だ。世界的有名ブランドのヴェルサーチの創業者も通っていた店で、今でもファッションやオペラ関係者が多く通うミラノを象徴するカフェさ」
「そんな凄いカフェがこんな所にあったんだ」
「この街の近くに住んでいるのに知らなかったのかい?」
澄んだ横顔は私を映し出すかのよう。
「言ったでしょ。私、大通りとか人の多そうなところは最近はあまり歩かないの。でも何だかいろんなお店があって神様のタンスの様な街。どの引き出しを開けても素敵なものが詰まっていそう」
「でもたまには来てみて良かったんじゃないかね」
「悪くはないわね。隣に立つ人がうるさい男じゃないからかもしれないけど」
「確かに君の周りにはハエのような男たちが寄ってきそうだ」
私達は笑いながら老舗カフェの扉を開けた。
 硬い椅子に腰を降ろし、私は驚いたようにメニュー表に釘づけになっている彼女を見る。
「好きなものを選んでいいんだよ」
「私にはわからないものが多すぎるわ。あなたが決めて」
私は手渡されたメニュー表を閉じてテーブルに置き、彼女に聞く。
「ではコーヒーとアイスでいいかな? アイスは種類が多いけどどうする」
スズメの瞬きのような一瞬の間が私たちに流れ、彼女は笑みを浮かべる。
「ここはあなたが案内してくれたお店でしょう。だからあなたに任せるわ」
私はうなずき、店員が私の近くを通るのを待つ。店員を呼ぶことも可能だったが、私は忙しそうに客に対応している店員を呼びつけてまで注文するのが苦手だった。慌てなくてもコーヒーとバニラアイスは私たちの元に必ず来るであろうし、彼女も待つことを苦としない人間のように思えた。それならばわざわざ店員を呼びつける必要はない。このような女性といると、待つことさえ有意義な時間に変えてくれる。
 言葉を交わし合い数分後にようやく店員を捕まえ、私は二人分のコーヒーとアイスを注文した。長年この街の中心で店を続けてきただけのことはあり、おかしな組み合わせの私と彼女に対しても手際のよい愛想よさで我々の注文を受け、風のように注文票を店の奥に運こんで行った。
彼女はその店員の姿がカウンターの隅に消えるまで目で追い、忘れていたかのように私に目を向ける。
「いい店ね」
「この街で私が二番目に気に入っている店だからね」
「あなたにとってここは最上の店ではないのね」
彼女はテーブルに肘を乗せ、猫のように丸めた手の甲に口を寄せた。おそらく意識せずに整えられたその姿勢は、挑戦的な空気がまとわれていた。カフェで向かいの席に座る女性たちは皆、手練れたカジノディーラーの顔を見せる。
「私の中で最も上にランク付けされている店も老舗でね、コーヒーが格段に美味しいんだ。でも残念なことに、私はあの店に女性を連れていく勇気はないな。コーヒー好きの女性ならまだいいかもしれないが、ほとんど中身を見せてくれない君をそこに連れてはいけなかった。だからその店から一つ階段を降りたここにした。この店は女性からの人気も高いと聞いていたからね」
「私はコーヒー好きよ。下手なお世辞よりも私の心をなだめてくれる」
「それなら後でその店の住所を教えてあげるよ。今度行ってみるといい」
「そこの住所を知る必要はないわ」
私が目を見ると、彼女はわざと首をすくめる。
「またあなたに案内してもらえばそれで済む話でしょう。住所を書きインクを減らす必要はない」
「嬉しい言葉だけど、私に優秀なダンディズムを期待してはいけないよ。女性をエスコートした経験の極めて少ない人間だからね」
「その割には今日は水晶玉のように綺麗なエスコートをしてくれているじゃない。好きよ、私。あなたのエスコート」
私は褒められた嬉しさを隠し、フォーレのレクイエムを弾くように静かに言葉を続ける。
「路地裏で息を切らせはしたがね」
「あれは私が急いだから。あなたのせいじゃない」
「でも安心したよ」
形の悪いワイングラスのように顔を傾ける彼女。
「せっかく久し振りに外を歩くのに、こんな老人がいては邪魔になると思っていたから、君に不快感を与えていないことに安心したという事」
「あなたは年老いている分、そこら辺の気取ったお坊ちゃま達より多くのことを教えてくれる。あなたと歩く春の街はここ数年で一番綺麗だった。年を取ったからって自分の価値が落ちたと思わないでね」
何故か彼女に諭され、私は小さく礼を言う。
「ありがとう」
 その時、私の言葉がかすむくらい大きな女性店員がテーブルの横に立ち、私達が注文したものを置いていった。綺麗な店内に並べられた品のあるテーブルの上に乗せられた、二つのコーヒーと二つのバニラアイス。それは妙に寂しい光景であったが、彼女は感慨の声を上げてくれる。
「わぁ、何だか素敵」
「こんな質素なテーブルに喜んでもらって嬉しいよ」
「時にはシンプルなテーブルの飾りも必要。それがコーヒーとバニラアイスだなんていい事じゃない。広いステージの上のバレエダンサーみたい。どんな踊りを見せてくれるのか楽しみ」
「優雅に回転は出来ずとも、爪先立ちくらいは上手にやってくれるはずだが」
私がコーヒーカップを持ち上げ香りを楽しむと、彼女も私を真似て香りに顔を近づけた。
目には見えない香りに浸り、穏やかに目をつむる彼女の表情は妖艶にさえ見えた。
「どうだい?」
彼女は香りの中から眼球だけ上に向け私を見る。
「私が普段飲んでいるコーヒーとは全然違うわ。甘く上品な香り。それでいて自信に満ちている。早く飲んでって私を誘っているみたい」
恐らく上等なコーヒーを知らない彼女にしては優秀な答えだった。
「誘われるがまま飲んでみたらいい」
「ええ」
彼女はコーヒーカップに口をつけ、まだ熱いコーヒーを口内に送り届けた。熱に一度顔をしかめはしたが、彼女はコーヒーを口に含み、一遊びの味わいを終え喉に通した。
「美味しいわ。苦みと酸味が調和している。上手くは言えないけれど学校で一番優秀な生徒って感じ。勉強もスポーツも恋愛もバランスよくこなしている子みたい」
私の反応を伺う彼女に、ゆっくりとうなずいてやる。
「言い得て妙だな。君の表現はつたない所もあるが、満点に近い点数を与えることを私は躊躇しないよ。それだけ君はこのコーヒーの優れた点を見抜いている」
「本当」
春の陽気のように笑顔を見せた彼女からは妖艶さは消えたが、年相応の女性らしい花の様な空気もまた晴れやかに私の心をくすぐった。
「これはコーヒーの王様とも言われていて、君が言った甘み・コク・酸味・苦みを全て高いレベルで兼ね備えている万能選手なんだ。特にこの店では大粒の豆を使っているため、高品質・高水準な味わいで私達を楽しませてくれる」
「完璧な彫刻作品のようね。ちょっと安っぽい表現だったかもしれないけど」
「安っぽくなんかないよ、その通りだ。これほど均整の取れたコーヒーを私は知らない」
出勤前の人間が時計を気にするように、彼女はテーブルに置かれたバニラアイスを見た。
「それも食べていいんだよ」
「でも私の周りでも怒る人いるよ。コーヒーと甘いものを合わせるなんて邪道だって」
私は笑う。きっと彼女は私がコーヒー好きなのを気にして、世の評論家たちの述べるコーヒーの作法から外れる動きをすることをためらったのだろう。私のことなど気にする必要は全く無いのに。
「いいんだよ。無理に正しい飲み食いをする必要はない。人には人それぞれの楽しみ方がある。形ばかり気にしていたら、せっかくの豊かな時間が遠のいてしまう。さぁ、どうぞ」
彼女の顔に幼げな笑みが一つ浮かぶ。
「本当のお爺ちゃんみたいね」
「そうではないよ。私は結婚すらしたことが無いんだ」
「理屈屋さん」
「老いることに比例して理屈の数も増えていくのさ」
「また理屈」
スプーンですくったバニラアイスを食べ、彼女は再びコーヒーを飲んだ。
左手にスプーン、右手にコーヒーカップを持つという不格好さ。飾らぬままの美しさが私の前にあった。
「本当に美味しい。こんなにシンプルな組み合わせなのに…うん、出会えた喜びと幸せを感じさせてくれる。不思議ね、テーブルの上は物寂しいくらい質素なのに、フルコースの料理のように私を楽しませてくれる。私って貧乏舌なのかな」
「コーヒーとバニラアイスで、フルコース並みの喜びを感じられる事。それも一つの才能だよ」
「優しいのね、タンギーお爺ちゃん」
私には彼女が輝いたように見えた。深く儚い輝き。
「私を知っているのかい?」
「何日も扉を叩かれている間は、あなたのことは迷惑な人との認識しかなかった。でもこうして顔を見ながら話していると分かってきたの。あなたの背景が教えてくれたのかしら」
彼女の言葉に私は振り向いたが、そこには空席のテーブルと椅子があるだけだった。
「何も見えないが」
「きっと自分の背景はその目で見ることが出来ないのよ。振り返れば背景はそのままあなたの背中に移動する。永遠に続く追いかけっこね」
「私の背景には何が見えているのか教えてもらいたいな」
「私にはあなたのような知識はないから上手く伝えられないとは思うけれど、それでもいいなら見たままを伝えてあげる。今日のお礼よ」
「知識が無ければ的確に表現できない物が、私の背景に映っているのか。尚更興味がわいてきた」
彼女はワードパズルに挑むような目で私を、いや私の背景を見る。
「絵画ね」
「絵画?」
「ええ、大きな緩さを持ちながらそれでいて繊細。そして明確な線。それらが私は見たことのない絵の具で描かれている」
「情報が少ないな。まるで実態がつかめない。雲にソースをかけて食卓に出されたみたいだ。
皿の上に広がるのはこぼれ落ちたソースだけ」
「だから言ったでしょう。私には美術的な知識はないの」
私はテーブルの上のコーヒーを一口飲む。先ほどよりも少し強い酸味が顔を覗かせていた。
「具体的に説明してほしいな。それは一体どんな絵画なんだい。何がどう描かれている」
彼女は一瞬迷った表情を見せたが、そこに佇むことなく口を開く。
「見たことのない優雅な服を着て、強くメイクをした女性の絵画が3枚はあるわね。それに花の絵にピンク色の葉を咲かせた木々。後は雨が降る橋の上を変な帽子をかぶって歩く人々の絵画。それがハッキリと大胆に描かれているわ。そしてどの絵も影を持っていない。異文化の絵画みたいだけれど、どこか私達の心に触れる美しさがあるわ」
彼女の言葉に私は手を叩く。隣の席に座る小奇麗な女性客二人がいぶかしげな視線を私に向けたが、今の私にとってそれは些細な問題にも値しないものだった。
「わかったぞ。その絵画の女性たちは美しい髪飾りを付けているだろう」
「どうしてわかったの?確かに髪飾りを付けているわ。でもこんなに派手な髪飾りでは、私は外を歩けないわね」
「私の店は画材や美術品を扱っているんだ。そして客もそれを使ったり、興味を示す者たちばかり。そんな店の店主をしていれば美術品にも詳しくなるさ。私自身、美術品は大好きだしね」
肘をつき指を重ねた手の甲の上に彼女は顎を乗せ、私を見る。
「答えを教えて。絵画を見ている私が、見えていないあなたにこんな質問するのもおかしな話だけど、あなたの後ろに映る絵画の正体が知りたいの」
「まだ確信のツタを掴んだだけで私の胸に引き寄せたわけではないが、君の知的好奇心のために答えよう。きっとこれは浮世絵だよ」
見えない背景を指さす私に彼女は聞く。
「浮世絵?聞いたことが無いわ」
「それはそうだろう。私達が浮世絵に触れあえる機会は極めて少ないからね。浮世絵は日本という国の絵画で、その作成法を知った時私は驚いた。なんと浮世絵とは絵の具を使いキャンパスに描いたものではないんだ」
「描かなければ絵にはならないわ。息を吸わなければ心臓だって止まってしまう」
知を求める人間に、その答えを教えられる喜びは私の胸を高ぶらせる。
「そう思うだろう。だが違うんだよ。描かなくとも絵画は作成できるんだ。まず下絵を書く、そして下絵の通りに版木を彫り、彫った版木に鉱物や植物から採取した天然顔料を塗り紙に擦る。それが浮世絵さ。私の画材店によく来るゴッホという青年が、大層その浮世絵を好んでいてね、浮世絵の収集に必死になっているんだ。彼は必ず大成すると私は信じているよ」
私の話を聞き彼女は笑う。
「何か可笑しかったかな?」
「ごめんね、難しい話なのに随分楽しそうに話すから何だかおかしくて。それに…」
「それになんだい」
「あなたの背景の浮世絵がまるで動き出すかのように生き生きと見えて。不思議ね、あなたの背景に何故浮世絵の絵画があるのか、そしてその浮世絵の背景があってこそのあなたにも思えてくる」
「わからないな。わからないけれど、ありがたいことだね。出来ることならいつまでも君に見えている背景を背負っていきたいよ」
「いつまでもずっと、浮世絵と一緒に。それがあなたらしいわ、タンギーお爺ちゃん」
「違うよ、タンギー爺さんだ」
私達は視線を結び笑い合った。はたから見れば意味不明な話で笑う奇妙な光景に映ったであろうが、私たちはそれで構わなかった。楽しい時、笑う以外には何が出来るのであろうか。
 空になったコーヒーカップと小皿が二つずつ並ぶテーブルで、彼女は大きく息を吐いた。
「はぁ~、こんなに美味しいコーヒーとアイスを食べて、こんなに楽しいお爺ちゃんと会話できるなんて、今日は楽しかったなぁ」
「たまには外に出てみて良かっただろう」
窓の外に泳がせていた視線を、彼女は私に戻した。
「あなたがいてくれたからよ。ありがとうタンギーさん」
「嬉しい言葉だけど私は関係ないよ。閉じこもっていた部屋から出たら、楽しいのは当然のことさ。自分の足で歩く外の世界にはいつだって春の空気がある。例えそれが極寒の冬であろうとね」
「冬は冬よ。極寒の世界に春があるなんて、ゴムボールをビー玉と言い張るようなもの」
私は顔の前で立てた人差し指を振る。おいぼれの勝ち誇った顔が彼女にはどう映っただろう。
「それは君が、冬を冬と決め込んでいるからだよ。探せば冷たい冬の中にだって必ず春は見つかる。足りないものがあれば探せばいいんだ。そうすればきっとそれは君の手にいつか握られる」
少し考え微笑みを見せる彼女。
「そっか、冬だと思っていればいつでも冬だし、春だと思えばコートが手離せない季節でも、今日のように楽しめるのかもね。気持ちの持ちようではいつだって春を歩けるのね」
私も意味もなくコーヒーカップの横で昼寝をしていたスプーンを持ち上げる。
「そうさ、我々はいつだって春を歩けるんだ。逆に辛い気持ちや悲しい気持ちをいつまでも引きずっていては年中が冬になってしまう。そんな時は自分で春を探して呼び込んでやるんだ。そして冬の中にいる人がいれば君の春を分けてやればいい。誰かに手を差し伸べること、それは人間が出来る最も正しい行動だと思うよ」
「あなたが私にしてくれたように」
意気込んで話をしていたことが急に恥ずかしくなり、私は笑いながら足元を見る。
「そろそろ出ようか」
「そうね、いい時間ね」
外はまだ明るいのに急に一日の終わりが来たような気がして、寂しさに揺れながら席を立つ。そんな私に彼女が一言。
「ちょっと待って」
彼女は慌てるように先ほど購入した花を包んでいる紙を開き、瑠璃色の花を一輪私に差し出した。
「これ持って行って」
私は老いた脳を稼働させたが、彼女の行動の意味することは見当もつかなかった。
「どういうことかな?」
渡された花を両手で摘まむ私を彼女は笑って見ている。
「似合ってるわよ、お爺ちゃん」
「否定はしないよ。私に最も近い色の花だ。だがこの花を持たされた理由がわからないんだ」
「簡単な話よ。その花が枯れる前にもう一度私の部屋の扉を叩いて」
手に持たれた花から漂う香りが、私の心を瑠璃色に染めた。
「いいのかな。また、訪ねて行っても?」
「あなたとなら、いつでも春の道を歩けそうだから」
「そうか。それならまた春を歩こう」
「待っているわ。また扉が叩かれるのを」
私はカフェの出口を手で示す。
「さぁ、帰ろう」
歩き始めた彼女に追い抜かされないようにし、私はカフェの扉を開けてやる。
 先ほどよりも強くなった春の日差しに私は目を細めたが、彼女は平気な様子で道を歩いて行く。出来立てのパンケーキのような陽気さで、メープルシロップのように甘い春の空気を全身にまとい歩く彼女。その背中に私は一つの疑問を浮かべる。
「私達は同じ道を通ってこのカフェに来たはずだ」
「そうね」
「ならば必然的に帰り道も同じとなるはずでは」
「そうよ」
「では何故あの店で花を渡したのかな。君の家の前で渡してくれればそれでよかったのに。おかげで私は人の注目を浴びながら街を歩くことになった。花一輪を持ち歩く老人、明らかに異質だ」
彼女は振り返った。その顔には強い笑み、この街の春のような表情。
「お返しよ」
「何の?」
「何日も朝からやかましく扉を叩いたことのお返し。次はもっと優しく叩いてね」
彼女はあんなに嫌がっていたメインストリートへ向かい歩を進めて行く。随分と軽快な足取りを私は追う。
「おい、待ってくれ」
明るい春の街に私の声が響いた。
                             芝本丈

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小説のリズム

文を幾重にも幾重に重ねて形にしていくのが小説であるが、作家によって文の重ね方も様々だ。いかに文章を続けていくか。文章を文章として成すための文と文を繋ぎ合わせるためのリズム。いかにリズム良く話を進めていくか。これが小説家の道を分けると私は思う。
 もちろん適した言葉を組み合わせ優れた文を作ることも重要だ。ただ、それを文章にする上でリズム感、間の取り方も非常に重要になってくる。

 例えばこれは私が先日アップした武さんとさんまさんの創作の話なのだが、遊びで書いたこの文章でさえ、私は間の取り方に苦悩した。
(これから説明することはあくまでも私の考えであって、これが正解ではないと断ずる方も恐らくおられることを承知の上読んでいただきたい)

 このシーンは、武さんのマネージャーがカップ焼きそばも作れないという失敗談を、武さんがさんまさんに説明しているところ。
武「まずね、あいつ老眼だから、焼きそばの作り方の説明文をよく読めないの。あれってけっこう字ちっこいだろ。でさ、二カ月くらい前かな。初めてカップ焼きそば作ってきてくれって頼んだんだよ。給湯室でやってきてくれって。で、俺は台本に目を通して待ってたわけ」
「はい、はい」と、相槌を打ちながらも、さんまの眼球は今にもこぼれ落ちそうになっている。
 この男は笑い話が大好物なのだ。溺れた状態で浮き輪と笑い話が流れてきたら、この男なら迷わず笑い話に飛びつくのではないだろうか。生きることは笑う事、死してなお笑いを欲する。
武「で、ちょっと戻ってくるの遅いから、給湯室混んでるのかな~くらいに思ってたわけ。そしたらそいつ戻ってきて、自慢げに言うんだよ。『武さん、焼そば作って参りました』って、こんな顔してさ」
武は大げさに顔をひん曲げて見せる。それと同時に、さんまは顔を上げ手を鳴らす。
さんま「いや、その人にしたら頑張ったのかもしれませんやん。大変な作業だったんでしょう、きっと」
この会話の中でさんまさんがいかに笑い話好きかを、読者に伝えるための一文を武さんの内心で語らせて部分がある。
それが、これ
この男は笑い話が大好物なのだ。溺れた状態で浮き輪と笑い話が流れてきたら、この男なら迷わず笑い話に飛びつくのではないだろうか。生きることは笑う事、死してなお笑いを欲する。

私は当初この後に、+8行の文を続けていた。それを書いてる途中まではいい感じの流れが文章にあったのだが、その後に武さんにマネージャーが部屋に戻って来たことを声に出して説明させると、何とも不格好な流れになってしまったのだ。
 それの当然のことだ。武さんが喜々としてさんまさんに話をしているシーンで、武さんがさんまさんをどのような人間と思っているかを10行近くも説明させるのは無駄が多すぎる。しかし私はそこで苦悩に陥ることになる。
 何故なら、私の空想でありながらも、なんとも武さんらしい文章を書き上げていたのだ。文章のリズム、間を壊してでも自分が気に入った文章を取るか、文章の流れを取るか。
悩んだ末に私は流れを取った。私の中ではどんなに優れた文であっても、文章のリズムを壊すことは許されないのだ。
 そのため私は、気に入っていた8行の文章を削除した。この話を長編として書いていたなら、その文章を別の場所に持っていき形を多少変えいかしたかもしれないが、こんな短い作りの話の中には組み込みようがなかった。
 遊びで書く小説もどきにさえ、文章のリズム、流れ、間というものを避けて通ることは出来ないという話でした。

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2017年9月28日木曜日

愛しのブルーマウンテン

今日はブラジル産のコーヒーを朝に一杯。

何度か飲んだことのある豆だったので驚きはないが、やはり信頼できる豆でした。
私は激流のような忙しさでない限りは、なんとか時間を取り毎日コーヒーを自分で淹れて飲みますが、まだまだ技術は不十分なようで風味に微かなバラツキが出ることはあります。

ですがそんな私でもブラジル産のコーヒーは一定の風味で淹れられるだけ、豆が強い気がします。

実はあと数日でブログにアップする予定の読み物で、登場人物の老人の男性と若い女性にカフェでコーヒーを飲ませるシーンがあるのです。

そしてそのシーンではブルーマウンテンを飲んでいるから、私もリアリティのある作品を書くためブルーマウンテンを飲みたかったのですが、私の家には在庫なし。
買い忘れではありません。しっかりとした理由があります。それは・・・・・・・・
ブルーマウンテンは高い




これにつきます。
いや、確かに高品質で安定感も高く、飲むたびに私を満足させてくれるコーヒーなのですが・・・・・・

高い!  
そしてもう一つ言わせてもらえば、繊細なだけにこいつの本来の実力を発揮させてやるには、上手に淹れる技術が必要
他の豆なら100g400~600円ほどで買えるところを2000円ですよ!
同じコーヒーでこれだけの価格の差・・・ 

ですので私は記念日(何のだ?)や、よほど気分のいい日にしか購入しません。
節約の観点から言ってもこれだけ高いコーヒーは弊害でしょう。

だから私はいつもコーヒーショップでブルーマウンテンの豆を眺めながらも、泣く泣くほかの豆を購入しているのです。(実際私の通っている札幌のコーヒーショップの豆はどれを飲んでも美味しいです。ただその中でもやはりブルーマウンテンはさらに美味しい)

でも一つの作品を書くためだったら、ただのワンシーンのためだけにでも、今回はブルーマウンテンを購入してもよかったかなと思う私でした。

・・・けど高いんですよね。300g買ったら6000円ですぜ、旦那。
豆が劣化しないうちにと、それを一週間もせずに飲みきってしまう事には罪悪感がとても強いのです。

いつかブルーマウンテンを気軽に飲める日が来ればありがたいのですけどね




※シバジョーのブルーマウンテンが高価な理由解説
ブルーマウンテンの豆は平均的なアラビカ種の豆と比べて6、7倍の値段がします。
他国で生産されるコーヒー豆はほとんどが個人経営の農園で栽培されているのですが、ブルーマウンテンだけはジャマイカ政府の管理下の元でしか栽培できないのです。
その理由はもちろん高品質の豆を毎年安定して出荷するため。
なのでジャマイカ政府が定めた一区画でしか栽培が出来ず、そこで栽培された物しかブルーマウンテンを名乗ることが許されないのです。そのため収穫数が少なくべらぼうに高価な豆となってしまうのです。


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2017年9月27日水曜日

登場人物の肉付け


 小説を書くなら登場人物の情報をどれだけ設定しているかが大事な要素の一つだと思います。肉付けをしっかりすることが大事なのです。

登場人物のことをほとんど考えずに書き始め、「要所要所で必要な部分だけ設定を考えて書いていけばいいや」という人が意外と多いことも驚きです。
特に主要人物に関しては、どのように生きて来たかなど詳細に考えておかなければ執筆中に不安になってきますし、どうしてもキャラが立たない。作品には出さない部分でも詳細な設定が必要となって来るのです。私の場合ですけどね。
何だか薄っぺらでヒョロヒョロな棒人形のように人間味が出ないのです。


前回「作品の脳内スクリーン化」でちらっと触れた没作品の登場人物「颯太」と「陽子」に関して私がしていた肉付けを少しだけ公開します。


『・浅野颯太  地方国立大学の2年生 身長172㎝ 体重57キロ 細身色白
家族構成 父54歳 母51歳 颯太20歳  声は大きくないが割かしハッキリ喋る
荻窪生まれ荻窪育ちで父親は銀行員、母親は専業主婦で、母親とは多少折り合いがつかないところもある。同じ荻窪に住んでいる祖父のことが大好き。運動神経はいい。
ノルウェーのクッキー的なイメージ☆ ←なぜかここに星マークがついてました
中学校までは成績優秀でスポーツも出来き順風満帆の日々を歩んでいたが、進学校への入学を機に劣等生に落ち、友達付き合いも希薄になる。人の中に居ながらも孤独な高校生活を過ごし、目標としていた大学にも落ち、何とか引っかかった地方の国立大学へ進学。法学部。学部を決めた理由は特になし。何となくまともそうだから? サークル活動は特にせず、勉強にもそれほど熱心ではない。ただ何となく毎日を過ごすだけ
中学まではサッカーに熱を入れていたが高校でも入部したサッカー部は半年で退部。人付き合いが上手くいかないから。
体型顔髪型は妻夫木聡風。繊細で内気。初めての彼女は中学2年の時の同級生。高校入学直前にも付き合ったがどちらも長続きせず、それからはずっと一人。
好きな食べ物はスフの家の近くの弁当屋の天丼弁当。好きな飲み物はコーラ。
好きなタイプの女性は綺麗で元気な感じの人。意外と高望みなところあり。
素の自分を見せたがらない。
最初は陽子に警戒心を持つが、慈善的○○の準備・決行の中で陽子に好意を抱いていく。
尊敬する人 祖父
好きな芸人 スリムクラブ
音楽 GLAY
香水 高校生の時まではSAMURAI 大学からは使用していない
ファッション ZARAかアバハウス的な感じ あくまでも水辺の風の様なイメージを壊さないよう注意 家ではユニクロ的な

・河崎陽子 こちらも色白細身でいきたい 荻窪のそこそこ有名スナック『井戸端』で働き3年   161㎝ 38キロ 痩せすぎ?  自由奔放 性格きつめ だが人を見下すことはない 実は弱さあり 髪を一本にまとめるシーンあり ミディアムより少し長め 黒に近い茶色 
家族構成 父44歳 母43歳 姉24歳 陽子20歳  声は高く大きい、どこか攻撃的  3人との交際歴有り どれも喧嘩別れ
高1でバトミントン都大会ベスト16 強豪校の中では不出来
カワウソの心を持ったヒョウってイメージ 焦げる寸前のキャラメルを薄くのばして固めた感じ
常に同じネックレス、姉のおさがりの4°Cのピンクゴールド ハートモチーフ 陽子が身に着けるものとしては高めだが姉からのおさがりということで
中学までは颯太と同じで高校からは別。その高校は3カ月で退学。バトミントン部に入っていた。明るく友人も多いが、実は人づきあいが苦手な一面もあり? 性格は真逆のはずの二人の意外な共通点。その後は荻窪で一人暮らししていた姉の所にころがりこみ、ずっと一緒に暮らしている。退学後は1年ほど遊びほうけ、姉に怒られマクドナルドでバイトを始めるが、労働内容と給料に差がありすぎると一カ月で辞め、その後荻窪のスナック『井戸端』で年齢を偽り働き始める。(最初はキャバクラに勤めるつもりであったが、年齢を偽ることが出来ず知り合いだった井戸端のママ寛子(啓子か道子でもいい)に頼み込んで働かせてもらうことに)
高校退学をきっかけに両親とは大げんかをしたが、姉とは仲がいい。姉は唯一の理解者。後に颯太も。
尊敬する人 いない あえて言うなら井戸端のママ
好きな芸人 バイきんぐ つるつるの方
音楽  洋楽全般
香水 高校退学し数か月後からCHANEL NO5を使い続けている。ブランド物にはあまり興味はないが香水だけはCHANEL  ちなみに姉はCHANELのチャンスを使用
ファッション 流行には乗るがそれでもシンプルは外せない。イメージ的にはpierrot styledeli 場面によってはVISやcocaもあり 家ではGU的な
はじめて自分で稼いだ金で購入した腕時計は大事にしまっている 1万3800円 淡いピンク 陽子らしい? 

中学卒業以来5年ぶりに合った二人は颯太の祖父の企てた慈善的○○に関するなかで精神的に大きく成長し、それと同時に二人の距離は縮まっていく感じ 
・荻窪駅前 アメ車90年代後半 ×コーラ  颯太・陽子 夜の公園  ここを無理なく入れるため修正必要か   』

どうでしょう? メモ帳からそのまま打ち込んだので読みづらい部分もあったでしょうが、こんな感じでまとめております。
颯太と陽子の関してだけでもこの3倍程度の設定をしておりますから、これはほんの一部です。
とにかく私は不安症なので、全登場人物で設定だけで十数ページになることもザラです。
その程度は詰めてかないと気が済みません。

このくらいの肉付けは最低限必要だという話でした。

なんかこの二人のことを書いていると、作品を書き直すか、この二人でガチガチの恋愛小説でも書いてみたくなってきた。このまま捨てておくにはもったいないかな。

※本日載せた内容は保護された内容ですので無断転載や使用、悪用は行わないで下さい。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月26日火曜日

小説の脳内スクリーン


 小説を書くときに私がすることは、書いている話をスクリーンに映すという作業。
実際に映像化され映画化されたシーンを想像するのです。




書いている内容を脳内のスクリーンにリンクさせ、情景・表情・表現・言葉それらすべてを映像化させる。
できる限り忠実に再現させることが大事で、これが出来るようになると執筆中に自分の作品の穴が見えてくるようになってきます。

例えば前後に情景などを説明する分が一切なかった場合に、『青空の下を颯太と陽子が話をしながら歩いていた。』
こう書いていたとして、これをそのままスクリーンに映すと物凄く陳腐な映像になってしまうのです。この一文の場合情報量が極端に少ないのですね。(颯太と陽子は以前私が執筆して没にした話の中のキャラクターです。ただこの二人はすごくいいキャラだったのでいつか違う話で復活させうと思っています)
それではさっきの情報量の少ない一文を少しだけ書き換えてみると、
『連日続く炎天下の青空の下をいつものオリーブ色の綿パンの颯太と、この夏の流行りだというスウェットに白シャツを合わせた薄いメイクの陽子が、陽に照らされた影を民家の塀の側面に映し、5年前に過ぎ去った中学時代の話をしながら横に並び歩いていた』
今度は情報量が多かったので出来れば2行か3行に分けて書きたかったのですが、駄目な方の例文を一文で書いてしまったので、こちらも無理に一文にしました。
どうですか? これだけ情報があればスクリーンにもだいぶ映しやすくなったと思いませんか。できればさらに街の外観などの情報も入れたかったのですが、さすがに一文に入れるのは不格好すぎるので断念。
ですがこの一文にはかなりの情報が含まれています。簡単に上げていけば
・炎天下の日が連日続くということは季節は夏。
・颯太はあまりファッションに気をつかわない
・陽子は流行を追いつつもシンプルな服が好き
・メイクは薄め
・家の塀があることから恐らくは住宅街のようなところを歩いている
・中学時代が5年前なら二人は20歳そこそこくらい
・炎天下の昼間に私服で、横に並びながら歩くことから少なくとも遠い関係ではない
最初の一文よりは確実に映像化しやすいでしょう。
このように実際に明記していない事でも読者に上手く情報を伝え、完成度を高めているわけですが、最初の一文のミスに気付いていなければ修正も出来ませんよね。

 そこで、書いた文章を逐一脳内で映像化していくのです。そしてできればその映像が映画館かテレビで放映されている所を想像してほしいです。
そうするとより客観的に自分の作品に足りない部分や、逆にいい部分が見えてきたりします。

で、これをやっていくと会話の部分でも、けっこうおかしなところが見つかってきます
この会話良いなぁ~、何て自己満足したままスクリーンで再生すると・・・あっ、これは学芸会の会話だわ、なんて思うこともしばしば。

自分の作品の映像化。これにより多くの発見が出来ますし、何より面白い。
執筆をしている方は是非お試しください。

ちなみに・・・
颯太というキャラは若い頃の妻夫木聡さんを内気に繊細にしたイメージで書いてました。
陽子は自由気ままで強気だが内面に弱さを隠した女性で、イメージした人は・・・内緒です。
恋愛小説ではなかったのですが、この二人の関係の変化は自分で書いていても面白かった。
没にしたのがもったいなかったかな。

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2017年9月25日月曜日

ひとさじの言葉


小説とは文章の集合体であり、文章を構成するのは文、文を構成するのが言葉です。
ですので小説とは文、文章が無ければ成り立たないものであり、それらすべてを持ちいて読者を魅せるものであります。

どれか一つが欠けてもそれはもう小説ではないのです。

 ですが私はまだまだ未熟な人間ゆえ欲が深く、自分の身の丈に合わないことを望んでしまいます。

それが「ひとさじの言葉で満たす」ということ。





こんなことを言っていたら笑われるかもしれませんが、それが出来る人間になりたい。

多くを語らなくても、書かなくても、人や読者を満たすことが私の目標です。

長々と小説を書くことが嫌だと言っているわけではありません。
ただそんなことが出来るようになれば、どれだけ素晴らしい作品が書けるだろうと胸を焦がします。

かつて千利休が一輪の花で茶席を満たし客人を魅せたように、私も「人さじの言葉」で読者を満たしたいと考えています。




二つか三つ。それだけの言葉で人を満たし心を魅せる。

私には雲をつかむような話かもしれませんが、それが叶うことを願い書き続けていくことが大事だと思います。

いつかこの願いが叶う日が来ることをひとさじに乗せ、丸い月に祈ります。




…なんちゃって


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2017年9月24日日曜日

期待を裏切ること


自分の作品に対しては強気でいますが、それでも読者の期待を裏切るのは辛い。
言い訳に聞こえるかもしれませんが、全ての人に受け入れられる小説など存在しないはずです。
もしもそんな小説が存在するとしたら、それは妥協点だらけの作品のはずです。
「こう書けば悪くは見えないだろう」「こうすれば批判の対象にはならないかな」「小難しい表現使ったらまた意味不明とか言われちゃうから簡単な表現しよう」きっと作者のこういった意図が透けて見えるくらいの妥協点の塊。
その小説のタイトルを付けるなら『THE・妥協』で、サブタイトルに~縮こまって震えながら書きましたー もう小説かエッセイかすらもわかりませんね。

 だったら、前回書いた通り自分の好きな作品を書けばいい! となります。 が、

読者が望んでいないであろう作風で進めていくことに、辛さもあります。
例えばこのブログに載せた読み物にでもメッセージは何件も送られてくるのですが、「私こういう話苦手なんですよね」とか「私は今回はあんまり好きではなかったです」などのメッセージがあると、「ああ、もっとこの人好みの作風にすればよかったかな~」と心を痛めることもあります。

私の場合だけかもしれませんが真っすぐに非難されるよりも、期待を裏切ってしまうことのほうが断然辛いのです。
期待を裏切ることは読者に対する裏切りとも思いますし。


しかも期待通りに書こうと思えば書けるところを、あえて違う方向に書き上げて、それで「残念でした」的なことを言われるのが一番こたえます。

しかしある意味、期待を裏切ってでも多種多様な作品を書き続けていくことが大事なのでしょう。(バッドエンド物は書かないでしょうが)
そうして技術とともに作品の幅も大きく広げていく。それが作家としての成長とも私は考えています。

 でも期待を裏切ってまで、自身の求める作品を書いていくことが正しいのかなと思ったりもするわけですよ。望まれている物を書くことこそが私の仕事であるでしょうからね。

読者の望む作品を書くか、私の意志を貫くか。


難しい問題だ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月23日土曜日

生活のリズム


私は人並みならぬこだわりの強さを持つ人間だと思っています。
書くことについてはもちろんですが、生活習慣、食べ物、ファッション、香水、ペン、インテリア・・・上げていけばきりがないほどこだわる物は多く、またその思いも強い。

例えば生活習慣について。
社会という多くの規制がある枠の中で生きているため、どうしても生活のリズムは狂いがちになります。毎朝同じ時間に起きることはまだ出来ても、毎夜同じ時間に眠ることはなかなかできません。
しかし私はそれが嫌なのです。
同じ時間に置き同じ時間に寝ないとどうしても生活リズムが狂ってしまう気がして、そしてその狂いにより仕事でミスが多発すると理解しているため、起床時間も睡眠時間も私の場合かなり安定しています。(最近夜中に目を覚まし眠りから取り残されてしまうことはありますが)
いや、言葉が間違っていました。安定しているではなくて安定させています。

私は基本簡単な調理くらいなら自分でしますが、それでも調理することにより睡眠時間が削られることは許されないため、コンビニ弁当で済ませてしまうことも(食べ物にこだわっているとも書きましたが、コンビニ弁当は割と好きなのです。じゃあ大してこだわってないだろ!というツッコミはなしでお願いします)。
そしてご飯を食べ風呂に入り、なんだかんだやらなくてはいけないことをしてから眠りにつきます。
※ご飯を食べてから風呂に入ることもけっこう重要で、面倒事は先に済ませたいからと先に風呂に入る人もいると聞いたのですが、私は風呂上りにご飯は食べられないのです!(きっと多くの人がそうだと思いますけど、食べられませんよね?)なんか、ご飯と一緒に湯水まで口の中に入ってくる気がして無理なんですよ。


毎朝同じ時間に起きて毎夜同じ時間に眠る。これで私の生活リズムは整えられるのです。
ちなみにこのブログを更新する時間も、平均して同じ時間なんですよね。更新する時間もなるべく崩したくないんです。これって几帳面?
どんなに忙しくても毎日同じ時間にブログを更新しないと、リズムが崩れそうで嫌なんです。ですから昨夜は時間が少しずれてしまって悔しかった。
一種のこだわりですね。

こうやって書いてみると私ってなかなか面倒な人間なのかもしれない・・・

最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月22日金曜日

作品の傾向


 私は小説を書くことが好きで話造りをしているのですが、もうひとつ考えていることがありまして、それは読者に何かを感じ取ってもらいたいという事です。
400ページ、500ページもある長編小説を読んで、読後に「だから何?何が言いたかったの? それで?」って作品は嫌ではないですか。

短篇ならまだ仕方ないなとは思いますよ、短い文章の中に物語を組み込み、更にはその物語に読者が感じ取れる何かを入れる。これはなかなか難しい事。
ですが、長編小説を全て読み終えて、その作品が作者の自己満足の作品だとどっと疲れますよね。「ここまで読ませて最後これかい!」という作品だと読んだ疲れも倍増しますよね。

 そしてそれがバッドエンドの作品だと最悪・・・ と、私は思うのです。
私はバッドエンド作品を読むのも書くのも大の苦手でして、一度350ページほどのバッドエンド作品を書き上げた事もありましたが、主人公やその周りの人間たちの悲しい最後に私自身が耐え切れず、半年近くかけた作品を没にしたこともあります。

 やっぱり書くならハッピーエンドかスッキリ終わる作品を書きたいですし、きっと読者の方でもそういう作品の方がいいと思うのです。
読んでいて最後にバッドエンドをくらうと、何だかこっちまで具合悪くなりませんか?

だから私は「シバジョーの作品ってある意味一辺倒だよね。悪い結果で終わることはほとんどない」と、言われても、スッキリ、さっぱり、たまにもやもや・・・でもハッピーエンド的な作品を書いていこうと思っています。
そして私の作品で読者を笑顔に、そして前に進む力を受け取ってもらいたい! それが私の考えですから、それを変える気はないのです。私を批判したい人にはさせておいて、自分の書きたいものを書いていく。そして私の顔には満面のシバジョースマイル




思い切り笑って前に進むこと。それが大事だと思います!


最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月21日木曜日

びっくり婆ちゃん


今朝少し怖い体験をしました。
というか叫び声をあげベッドから飛び起きました。
「うわっ」とかじゃないです。「うっぎゃあああああああ」と悲鳴にも似た叫び声を上げました。

どうしてそんなことになったか説明すると、夢を見ていたわけですよ。
数年前に亡くなった婆ちゃんが誰かと話をしているシーンを、私がベッドに横になって聞いているという何のアクションも驚きもない夢です。

ですが婆ちゃんが話している内容は何だかリアリティがあり、昔懐かしい婆ちゃんの香りが強く漂っていて、夢の中でその話をベッドに横になり婆ちゃんの懐かしい香りに包まれながら聞いている私。
けっこう長い時間話は続いていました。
その時、夢の中独特の霞みがかった話し声を聞いていた、眠っている私の耳に突然・・・
「シバジョー・・・」と婆ちゃんの声が聞こえたのです!
いや、もう現実に眠っている私の横に立っているかのような声で、私の名前を呼んだのです。「シバジョー・・・」と。(実際にはシバジョーとは言ってませんがここではシバジョーで通します)
夢の中の声ではなくて現実の声が私の耳に届いたのです。本当に婆ちゃんがそこに立っているかのような声でした。

で、私はビビりですから、もう驚きのあまり「うっぎゃあああああああ」と朝から叫んでしまったわけです



ごくまれに心霊体験をする私ですが、今朝のは久しぶりに驚きました。
驚きすぎて登場人物に言わせようと思っていたセリフ忘れちゃったよ、婆ちゃん。
今度出てくるときは一言メッセージを伝えてから来てね。婆ちゃんの好きな饅頭買っておくから。




最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月19日火曜日

社会で溺れる経験


 企画として現在一つ上がっているのが社会で溺れる人を題材にした小説です。
息苦しい社会の中でもがき苦しんでいる主人公が、溺れゆく中で何らかの光明を掴み立ち上がっていく・・・といった感じの話にしたいのですが、問題が一つありまして。

そうです、この話を書く私自身に社会で溺れた経験が無いと言う事。
いや、確かに辛い経験や思いは何度もしてきましたよ。
悔しさと情けなさでテーブルを殴りつけたこともありました。

ですが正直これくらいの気持ちは社会に出た人間なら一度は経験していることでしょう。
そして私は海で漂うラッコの性分を持つ人間ですので、周囲が私に対してどう騒ごうとなんやかんやとやり過ごしてきたため、溺れるほどの苦労はしていないんですよね。




 で、溺れているということは、全てを諦めて沈んでいくのとは違い、空気を吸おうと足掻いているわけなんですよ。
社会と言う太平洋のど真ん中で陸地を探して足掻き続ける人。
それをラッコのような私に書けるでしょうか?
近い経験をしたことはあると思いますよ。
でも実際にこんな私がそういった小説を書いても、「あぁこいつはこの程度思いしかしてないんだな」とか見透かされそうで怖い。

何事も経験が大事と言いますし、ここに来てそういった経験が無いのが痛い!

さて、どうしたものか・・・  思い切ってブラック企業の面接にでも行ってこようかな・・・


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2017年9月18日月曜日

広い視野

物語を書く上でも生きる上でも、視野が広いことに越したことは無い。

多くの知識・見解を持っていれば作品の幅は大きく広がるし、生活の中でも問題点を直線的にだけではなく多角的に見られるようになる。


自分の意見や考えがどれだけ正しいものと思っていても、他の人間が異なる考えを持つこともあるということを理解し、認めることも大切。(腹が立つこともありますけどね)

 だから私は作品の神的立場で作品の世界を好き勝手に変えることはあっても、神としての視点を持ちながらも自分の意見を、作品や読者に押し付けることはしない。

私は「これが正しい!」と確信を持てばその考えを簡単に変えることは無いが、それを口には出さないし、作品の中でも絶対にこれが正しいことだと言い切ることは無い。
(私の作品がどれだけの人の手に渡るかはわかりませんが、作品を読んでいただいた方たちに不快な思いをしてほしくはないですので)

自分の考えを持ちつつも、他者の考えにも排他的な視点ではなく、一人の人間の意見として聞いてあげることが心の寛容さであり視野の広さといえるものと思っている。
(ただ一つ、家族を侮辱された場合には狂虎のように襲い掛かります。これだけは絶対に許せないですからね)





私は決して優秀な人間ではないが、多くを学び、経験し、それに基づく視野を持てば、それは作品づくりにも役立ちますし人生をより裕福に過ごすためのきっかけになると私は考えています。


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一客のコーヒーカップ


コーヒーカップに幸せを感じる私がいる。





社会情勢も国際情勢も極めて不安定な中で、変わらず私のそばにいてくれるコーヒーカップ。
ふとしたきっかけで出会い手に入れたものですが、今では手離せない愛用品になってしまっています。

この記事にアップしようと思ったのですが、子供っぽいデザインが少し恥ずかしくもありここでは控えることにしました。

しかし不思議な物でこのコーヒーカップで飲むと、出来が悪いと言われるような豆でも意外と美味しく飲めるのです。
どんな不出来な豆であろうと秘められた魅力を引き出してくれるような、魔法のコーヒーカップ。

なんだかこういう一品が生活の中にあるだけで、小さなつまずきくらいなら帳消しにできると思えたりします。
つまずいて立ち上がるのは私自身なのですが、何だかそういう愛用品が私の支えになってくれている気がしています。

「シバジョーさんは物を大事にしすぎる!」なんてことはよく言われますが、一度気に入ってしまったものは捨てにくい。

いくら愛着を持って使用しているものでも、捨ててしまえばただの廃棄物と化してしますからね。

 そしてこのコーヒーカップはそんな考えすら起きないほど私の生活の中の一部となり、暮らしに欠かせないインテリアともなっている。


際立つ美しさはないが、静かに私のそばにいてくれて心の際に音を奏でてくれるコーヒーカップ。
彼との付き合いはまだまだ長くなりそうだ。
コーヒーカップに心満たされ生きる日々を静かに楽しんで行こう。


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2017年9月17日日曜日

想像の必要性

想像力を働かせることは多くの場面で必要になります。
小説の構成を考える時はもちろん、物造りの場面でも、もっと言うなら社会生活全般においても想像力は欠かせないものだと私は思っています。

想像することにより作業のミスを防ぐことが出来るし、業務内容の改善に役立つことも多々あります。

 そして想像により新たな世界が描けるのです。


空白のページに情景を打ち込み、登場人物たちに意思を持たせ、世界を循環させる。
その世界が誰に嫌われようと、笑われようと関係ないのです。
自身の想像から生み出した世界を、自身で認めてやることが大事。
それが自信につながり、作品に色がついていきます。下手くそだって何だっていい、自分にしか描けない世界をそこに生み出せばいいんです。


精神を研ぎ澄まし、想像上の世界を打ち込んでいく。ただ黙々と、自分自身と語り合うかのように。デスクの上に美味しいコーヒーかハーブティー、それにチョコレートがあればもっといいですね。想像力を掻き立ててくれますから。

 心を躍らせ想像をし、臆することなく想像した世界を書き込んでいくこと。
万人に認められる世界ではなくとも、きっとどこかにあなたの作品を認めてくれる人はいます。
そういった方に自分の作品を読まれることを想像するのもまた大事ですね。

そして私の経験上の事ですが、書きたいことがあっても『こんなこと書いても無駄かなぁ』など葛藤することがあると思います。そして迷いを持った時には必ずペンは止まってしまいます。
ですのでそういう時は迷いを捨て思い切り書いてしまってください。再度見直しした時に、やはりいらないなと思えば削ればいいのです。迷っても時には自分の想像のままペンを進める事。

 想像は人の願いを叶えるものと私は信じています。

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2017年9月16日土曜日

月の下で


 昨日もお酒を飲んできたのですが、さすがに二日続けてのお酒はキツイ。

美味しいのに体に重くのしかかってきます。頭痛はするしお腹の調子は悪いし散々です。
ですがこうなることが分かっているのに、誘われると飲みに出てしまうんですよね。
私の悪い癖です。お酒の誘いは断れない。

それでもお酒の席は楽しいですし、作品作りに役立つ話も出たりするので無駄なことではない。

 昨夜は二軒目のダイニングバーで満月の夜に見るならどんな映画という話になりまして、いろいろな映画が上がったのですが、満月に関連付けられてかスターウォーズなどのSF映画の話が多かったのです。


ちなみに私が推薦した映画は「星に願いを」という映画で確か竹内結子さんと吉沢悠さんが主演だったはず。




この映画のワンシーンで竹内結子さんが「お姉ちゃんは強いね・・・」と言ったらお姉さん役の人が「鍛えてるからね!チョップ!」と、チョップをする振りをするシーンが未だに頭の片隅に残っていまして。あのシーンが何故か好きだった。「3大映画で何気ないシーンだけど好きな場面」があったら私はこのチョップシーンを入れます。 ごめんなさい余談でした・・・

で、私が「SF映画は嫌いじゃないけど、ガチガチのSF小説は書いたことが無いなぁ」とつぶやいたら、大学で先輩だった人が「じゃあSF物書いてみてよ。月でラーメンのテイクアウト専門店やってる話とか面白そうじゃない」と、アホなことを言い出しまして、そこからは私に無理難題の話作りを押し付けられる時間になってしまったのですが・・・

月でラーメンのテイクアウト専門店というツッコミどころ満載の話はともかくとして(ある意味凄い発想力ですけどね)、初めてSF物にチャレンジするなら、月に移住した人類の生活を描くとか、ギリギリあり得そうで無い話くらいが書きやすいのかなと。


でも遠くから眺めているだけの月での生活をリアリティを出しながら書けるものかなと、曇った夜空に月を探す私でした。




秋の満月の下で読みたい小説。皆さんはどんな話が読みたいでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月15日金曜日

楽しい日々


昨夜は少量ですがお酒と秋の夜を楽しんでまいりました。
多少の雨こそ降っていましたが、夏の終わりと秋の始まりのこの季節に飲むお酒は格段に美味しい。(飲む相手によってはお酒も不味くなるのですが、昨夜はそんなこともなく楽しく飲めました)
そして秋の夜の涼やかな空気を吸い、身体を冷ましながら家路につくのです。
途中コンビニでウィダーインゼリーの青いやつ(多分エネルギー補給のあれです、あれ)を買い、大通り公園で騒いでいる若者たちを横目に、小説のことなど考えながら夜に重なる自分の影を追いかけ部屋に付きます。

で、シャワーを浴び歯を磨きいい夜だったと眠りにつき、朝起きて仕事前にフォロワーさん達のブログを見ていると・・・・・・
あっ・・・ 私の名前が出てる・・・


しかもなんか揚げ足取られてる~~ と、腰を抜かしました笑

やってくれたな、レビさん

いや、でも悪い人じゃないのはわかってますし(多分)、ディスられた効果もあってかアクセス数も伸びていたのでよしとしました。

でもですよ、どんな形であれ私の名前やブログを出してくれるのはありがたい気持ちもあったんです。
なんかね、ネットの世界でシバジョーが動き出した感じがしたんです。
ブログって最初は自分で発信していくしかないじゃないですか。
「私はこんな人間で、こんな考えを持っていて、このように生きて来て、こんな活動をしています」と、一方通行で発信していく。いわば相手のいないキャッチボールのようなもの。

 私はこの「シバジョーのブログ」を始める前にも三度ほどブログをしたことはありましたが、ずっと一人キャッチボール状態だったのです。




それが今では毎日メッセージやコメントを下さる方もいますし、今朝のようにブログに名前を晒してくれる方もいて、いい感じでキャッチボールをできていることに喜びを感じています。シバジョーという実態がネット上に現れた感覚。





 姿こそ見えないけれどハッキリと伝わるキャッチボール。
それは紅葉始まる秋の入り口のように私の心を染めてくれるようで、感謝の気持ちは尽きません。

最後にアクセスアップのお礼ではないのですが、紹介しておきます。
私をディスってくれたのはレビさんという方で
レビの「バイなら人生倍~…?」 というブログをやっています。
毎日笑える記事をアップしているので、もし良ければ訪問してあげてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月14日木曜日

ハーブティー ローズヒップ

今日もまたハーブティーの話をしようと思います。
今日紹介するのはローズヒップです。ハーブティーの代表格でもありますね。




ローズヒップは少し酸味もありますが、前回紹介したフェンネルのようにシングルで飲むならハチミツを少量入れてもいいですし、他のハーブとブレンドしても美味しく飲めます。
ブレンドのオススメはハイビスカスやレモンピール、オレンジピールです。

 今日何故このローズヒップティーを紹介したかと言うと、私が小説内で綺麗な女性を登場させる場合、小説に書かない裏設定の部分でですが、好きな飲み物の一つとしてローズヒップティーと記しています。一人に一人に詳細な設定をしておくことで、小説に出した時にリアリティが増すのです。
こういったきめ細かい設定までは小説内では書かないとしても、登場人物の姿形だけではなく、内面、人生経験まで作り上げ知っておくことが大切で・・・←ハーブティーと関係ない話になってしまったのでまたこの話は別の機会にします。

 そして綺麗な女性とローズヒップティーを結びつけるわけは
ローズヒップは美容にいい! という単純な理由です

 そこのあなた、ローズヒップなんてスーパーでも買える紅茶じゃない。大したことないって思いませんでしたか。
違うんですよ。

ローズヒップは植物の中で最も多くのビタミンCを含んでいて、その量はレモンの20倍にもなるのです。
そして付けられた呼び名が「ビタミンCの爆弾」です。


そしてローズヒップにはこのほかにも各種ビタミンや鉄分などが多く含まれ様々な美容効果もあり
・美白効果
・肌にハリを与えてくれる
・毛穴の開き改善
・たるみの解消
・精神面の安定
などの効果もあるため、綺麗で精神をしっかりと保っている女性を書く場合には、ローズヒップティーを愛飲しているとの設定をしてしまう訳です。

 ローズヒップティーにはカフェインが含まれていないため、妊娠中・授乳中でも安心して飲むことが出来ます。

一つ注意をしておきますと、ローズヒップティーを飲むだけではだめで、紅茶を出した後に残ったバラの実も食べることが大事だということ。




何故なら美白効果のある成分だけは、全てバラの身の中に残ってしまっているからなのです。
 ですので出来れば多少値段は高くなりますが専門店で購入された方が良いと私は思います。
ちなみにローズヒップの花言葉は「無意識の美」「愛」「私はあなたにふさわしい」だそうです。何だか花言葉だけでも美的効果が強いですよね。

ローズヒップの茶葉を透明な瓶にでも詰めて、部屋の片隅に置いておくだけでもいいかもしれないですね。

もっと書きたいことはあったのですが女子力高いとか言われてしまいそうなのでこの辺で止めておきます。
では今日はこの辺で。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月13日水曜日

他者の目


作品が完成に近づくにつれ、安心と不安が手を繋いで私の元にやって来る。

 数百ページに及ぶ作品を書き終えられる事による安心と、時間や精神を削り書き上げた作品が他者の目に通された時にどのように映るのかという不安。

私がいくら完璧な作品と思っていても、違う視点で読めばその数百ページがただの駄文と思われるかもしれない。
それを覚悟の上で執筆をしているとはいえ、自分の作品に冷めた目を向けられるのは辛い。

 ただそういった目を向けられるのは、自分の作品の穴を知ることも出来るので嫌がってばかりもいられない。
どれだけはらわたが煮えくり返るような言葉を投げつけられても、それが作品の改善に向けられる言葉ならば、歯を食いしばりカバンに押し込み部屋に持ち帰る。


そしてその言葉を頭に入れもう一度作品に向かい合います。

 頭を落ち着けたうえで参考になりそうならひっそりと作品を改善しますし、そうした上でも納得できないときには生ごみの中に入れて捨ててやります。

ですので作品に厳しい言葉を向けられても、一度は心を沈めて持ち帰ることが大切。
それでも受け入れがたいなら切り捨ててしまえばいいのですから。

 不思議なものでこうした過程を通ると、意外と不安は姿を消してしまっているもので、自分と自分の作品を信じて前に進みやすくなります。
 なので、厳しいことや辛いことを言われても一度は耐え、その悔しさを乗り越えていくことが大事だと思う今日の私です。
打ちひしがれては駄目。怒りを持ってでも前を見なければなりません。


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2017年9月12日火曜日

雨の日の心持


札幌は今日から三日ほどけっこうな量の雨が降るようです。
執筆作業は意外と天候にも作用されやすいもので、私の場合雨の日はどうも進行具合が遅れることもしばしば。
曇り空で雨の打ち付ける音が聞こえると、どうも気が乗らない。



特に晴れた日に街を歩くシーンなどにあたっていると、もう発想力の低下が著しいのです。
 それでも書けることは書けるんですよ。当たり前のことですけどしっかりと構想を練ってから作品を書き始めていますので、キーボードの上で指はタップを刻みます。


ただそこにはどうも不安が残るわけでして・・・

それは細部にわたる情景描写に関してで、やはり晴れの日のシーンを書くなら晴れた日に行う方が具合がいいのです。

雨が降る日に書いた晴れのシーンは、何だか風邪を引いた猫のような文章になってしまいまして。
痒い所に手が届かないみたいな感じが残ってしまうのです。
気持ちの持ちようでどうにかなる気もするのですが、自分が納得できないものを書きたくはないので、先に違うシーンを書いたりします。

そして雨が嫌な理由がもう一つ。

それは靴が濡れる事・・・ 私はトリッペンの靴を愛用しているのですが、雨に濡れるとどうしても傷みが出て行きます。
しっかり手入れすることでケアすることは出来ますが、ボディブローのように靴に傷みが積み重ねられていき、最後には酷い状態になってしまう気が。

札幌にトリッペンの専門店はありませんし、今履いている夏靴は特に気に入っているデザインなので雨の日はトリッペンの靴はどれも履かないようにし、以前に買った雨に弱い靴を履くことになり、雨が嫌いなんです。

ですのでとりあえず今言いたいことは
トリッペンさん 札幌にも来てください





最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月11日月曜日

ハーブティー フェンネル

 私はコーヒーを愛飲していることを何度かブログに書いてきましたが、もう一つ好きなものがあります。
それはハーブティー
最初にハーブティーをいただいた時は正直、美味しいことは美味しいけれどさして好きでもないな、くらいの印象でした。

しかし友人の一人から何度も勧められ口にしているうちに、私の体内にハーブティーを好意的に受け入れる器が出来たようで、今では自らティーポットに手を伸ばし多種にわたるハーブティーを楽しむようになりました。



 それで今日紹介するハーブティーは『チョコレートの距離』でベルナール・シャロワ作のル・ジャルダンという絵画の女性の愛飲するハーブティーとして使った、フェンネルです。
このフェンネル、スパイシーで後味に甘みのあるちょっと特徴的なハーブティーです。
ハーブティーの話をするにあたって、いきなりフェンネルを出すというのも無謀な話なんですが、正直に言いますね。
フェンネルは飲みづらい!
いや、本当にフェンネルというハーブティーは単体ではなかなかに飲みづらい。
不味いわけではないのですよ、ただハーブティーというよりは漢方を飲んでいるような気分になります。
腸内環境を整えたり、ホルモン作用もある薬膳的な側面もあるので、仕方ないのかもしれませんが飲みずらい。眼精疲労にも効果があるなんて話も聞いたことがありますし。

それで私はこの飲みづらいフェンネルというハーブティーをどのように飲んでいるかというと、爽やかなレモングラスなどのハーブとフェンネルをブレンドし、それにハチミツを少々。これで美味しく飲めます。
フェンネルはダイエットにも効果のあるハーブティーですので、これを食前に飲むようにすればみるみるうちにスタイリッシュボディを手に入れる事が出来ます! そして体の中を綺麗に保ってくれるので美容にも良いのです。


ですから皆さん、毛嫌いせずフェンネルを飲むべきなのです!!
(私はフェンネル界の回し者ではございません)


単体では飲みずらいのでブレンド法を紹介しておきますと
ダイエット的な効能を狙うなら
フェンネルをティースプーンに3分の1杯
レモングラスをティースプーンに1杯

授乳中にオススメなのは
フェンネル ティースプーンに3分の1杯
ローズヒップ ティースプーンに2分の1杯
レモンバーム ティースプーンに2分の1杯
レモングラス ティースプーンに1杯

注意点としましては妊娠中やお子様は引用しない方がいいという事です。

ちなみにフェンネルの花言葉は
「背伸びした恋」「賞賛に値する」「強い意志」「どんな賛美でもあなたを語り尽くせない」
と、なかなか洒落てます。

フェンネルを飲んだ日の午後は何故だか執筆も進む気がします。
体内と一緒に頭まで綺麗になる・・・ ことはないでしょうが、それほど仲は良くなくても付き合いが続く友人のような存在のフェンネル。
毛嫌いしないで飲んでみるのもいいかもしれません。もしかしたらあなたにとっても、切っても切れない友人になるかもしれません。

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2017年9月10日日曜日

50記事突破

気が付けばブログ開始当初の目標であった記事数50を突破していた。

当初は半年くらいかけて50くらいアップできればいいと考えていたのだが、ブログを久し振りに始めてみるとなかなか面白く、今では忙しい合間に時間を見つけて記事を書きほぼ毎日アップしているため、ブログ開始から二カ月たつ前に50記事を超えることが出来た。

物事を途中で投げ出すことが得意な私にしてみればこれは快挙だ。仕事が無ければワインでもがぶ飲みしたい気分。(がぶ飲みなんかしたら本来のワインの味が全く味わえないんですけどね)




目標を達成できたことは非常に嬉しいけれど、次に目指すものが無ければ宙ぶらりんになってしまうな。
次の目標は100記事突破にでもしてみようかな。


そして100記事到達した時にはみんなにお祝いしてもらおう。
「おめでとう! シバジョーさん」みたいな感じで。


でもこんなこと言ってて誰からも祝福されなかったら悲しいものがあるな。




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2017年9月9日土曜日

遊び心


 一見駄目なようにも思えますが、私の仕事に関してはあそび心を必要とする時もあります。
物を書き続けていくという永遠にも思える仕事を続けていくには、どこかで神経を緩めることも必要であり、作品に遊びを加えることもしばしば。

しかし遊び心を加えると言っても作品の完成度を落としてしまっては意味がありません。
完成した寄木細工に粘土を詰めてしまっては台無しになってしまいます。

ですので完成度を高めていく過程で、読者にも気づかれないような遊びを加えるのも、仕事を楽しく続けていく上でのリラックス方の一つです。

 
 そしていろいろと問題の多い世の中を楽しく生きていくためにも遊び心は必要だと思っていまして、今考えていることは生活の中に着物を取り入れること。

着物を着て買い物に行き、カフェに入り小説を読み、夜になればバーに行く。
そしてクラブに行き着物姿で孤独のリズムを刻み、最後はアルコールで温まった体を夜の風で癒す。


そんな遊びも生活に取り入れたいと思っている私なのでした。


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2017年9月8日金曜日

適度な肉付け


私は大学生の頃かなり筋トレにハマっていまして、日々バーベルを上げ下げするような生活をしていたこともありました。
幼いころから格闘技好きだった私が学生当時に熱を入れてみていたのがアメプロのWWEでして、その中でも好きだった選手がプロレスファンなら世界中に知らぬ者はいない、世界一のプロレスラーにして世界一のエンターテイナー、ハルクホーガンでした。




そして私は彼の体に憧れてしまい、私もあんな肉体が欲しいと筋トレの日々。
・・・はい、アホでした。私みたいな身長も体重も標準的日本人がハルクホーガンになれるわけがありません。

それでも意外と頑張ってはいたのですよ、多少なりとも筋肉も付いて来てマッチョマンへの道が開きかけた時に、我が大学恒例の某駅前での飲み会の際に言われた一言が、私と筋トレを切り離しました。それは、
「シバジョーの顔には絶対マッチョ似合わないよね~」でした。

まぁ確かに私の顔には筋肉は似合わないかもしれない。
当時ですよ、学生当時に何故か似てる芸能人と言われていたのが、あの王子様キャラの
この人





及川光博です。私自身は似てるとは思わないのですが、似てる芸能人の話になると、嬉しいことにこの人の名前が挙がってくれます。私はミッチーの足元にも及びませんよ、でも確かにこの顔にハルクホーガンのような筋肉はどう考えても似合いませんもんね。

 これは文章にも言えることなのですが、気に入った場面をより盛り上げようと過剰に肉付けしてしまうのは間違いだという事。

その文章に合ったバランスを見極めて書くことが大事なのです。
人にも好みがある様に、文章も人によって好き嫌いはわかれるでしょうから、万人に好かれる文章というのは恐らく存在しないでしょう。
ですがそれでもバランスのいいものが好かれる傾向にあるのは間違いないですので、削るとこは削り、足すとこは足し、端正な文章に仕上げるのが良いでしょう。

間違ってもミッチーにハルクホーガンを足すような真似はしないようにしてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月7日木曜日

感銘を受ける一文

感銘を受けた一文は誰にでもあると思います。
小説でもエッセイの中にでも、光り輝く一文はあります。
その一文の前後にある文章だけでなく、一冊の小説、エッセイまでも引き立たせてしまう一文にも私は何度か出会った経験があります。

物凄い力を持った一文です。

 ですが、そんな感銘を受ける一文でも話の中から切り取って、一枚の紙に載せてみると印象は変わってきます。

切り取りはしてもその人にとって大事な一文なら凄みは残るでしょう。
でも切り取る前のように輝きがあるかといえば、それほどでもない。

 つまり私が言いたいことはどんなに優れた一文であっても、それは単体では本来の力を発揮できないということです。
前後の文章、もっと言うなれば小説全体があってこそ、その一文は光り輝くのです。
そしてそれは逆の場合でも同じであって、その一文が無ければ他の文書も力を発揮できません。
お互いがお互いを引き立て合ってるわけなのです。
 小説はもちろんですが何かを書き、それに何らかの価値を乗せたいならば、些細な脇役になりそうな部分にもしっかり気を入れる事が大事。
それがあってこそ芯のある作品・文章が出来上がるのです。

 あっ、一つだけ注意をしておくと、全てにおいて肩の力を入れていては駄目なんですよね。
難しいことかもしれませんが、力を抜くところは抜いていいのです。ただし、気は抜かないこと。力を抜いても気は抜かずに書くというさじ加減も必要となってきます。




ライオンのように力を入れる時もあれば、ラッコのようにのんびりと書くことも大事。

さじ加減です、さじ加減。

もしもこれを身につけたならば、あなたの文章に神の雫ならぬ神の一文が舞い降りるかもしれません。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月6日水曜日

チョコレートの距離と動く秒針


今日は読み物を。
今回使わせていただいた作品はベルナール・シャロワの『ル・ジャルダン』と冷たい画家と言われるフェリックス・ヴァロットンの作品を使わせていただきました。






お気に召すかどうかはわかりませんがお読みいただけたら光栄です




静かな午後の半ば過ぎ、時計の秒針が僕の背中に落ち、僕たちの時間は止まった。
白く整理整頓された部屋にかけられた時計の針が止まり、今日でちょうど一カ月。
カチカチと時を刻む音が聞こえなくなったのはいいことだ。時間の中に僕だけが取り残されているという事実が、確証ではなくなる気がしたから。
しかし刻々と過ぎていく時間の中で、自分の唯一の役割を放棄した掛け時計の物悲しさは、アスファルトを跳ねるカエルのようだ。行き場なく朽ち果てるのみ。インテリア時計として街角の小洒落た雑貨屋から僕の部屋に連れてこられたあの鉄くずも、いずれは彼女に見放され廃棄処分への道をたどるのだろう。
 紙を折る手を休め、針を動かさずとも堂々と僕の部屋の壁に居座る、彼女曰くヨーロッパ風のレトロなインテリア時計を眺めていた僕に、鉄くずの購入者の声がかけられた。それはまるで寝坊した子供を布団から引きずり出すような声。
「いつまでそうしてるつもり?」
この部屋と同じく、白く整えられた容姿を持つ彼女の口から発せられた言葉は、僕に対する嫌悪感を隠す様子はまるでない。人に対する彼女の怒りのゲージはそれほど低くはないのだが、何故か僕の行動は彼女の怒りに触れるようだ。それを認識している僕は淡々と声を出す。怒りに対し真っ向から怒りをぶつけるのは愚か者のすることだ。
「何の事?」
「聞かなくてもわかることは聞かないで。それよ、折り紙。私はあなたが紙を折っている姿が大嫌いなの。仕事に就いてもすぐにやめて折り紙ばっかり。あなたはその時計と同じ。一度止まったら再び動き出そうとすらしない」
僕は彼女を見ずに紙を折り続ける。今回挑戦しているのはペガサスだ。紙を3枚使用する僕にしては大作のため、息をするように怒る彼女に目を向けている暇などない。この紙にペガサスの姿を与え羽ばたかせてやるのが今の僕の使命なのだ。その背中に乗りペガサスを操ろうなどという横柄な気持ちは微塵もないけれどね。
「こうしていることによって僕の心は安らぐんだ。社会には何の益ももたらすことのできない僕だけど、ただの紙には得られない価値を、命を与えてやることが出来る。この行為を君がどうかしていると思うことについて、僕は怒りを感じることは無いよ。君は立派な女性だし、社会の一員でもある」
僕は紙を折り続けながら、彼女の息遣いに耳を寄せる。フェンネルの紅茶を愛飲する彼女の呼吸にはスパイシーな緑が香りがほのかに乗る。きっと怒りを覗かせている今でも彼女の周りにはフェンネルの花が揺れているのだろう。
「社会から見れば僕のような存在など害虫だろう。ううん、人に害すら与えることのできない僕は石ころと同じかもしれないな。石ころと同じ無価値な存在。そんな僕を社会の一員である君がどんな目で見ているか、僕にはよくわかる。ただこれだけは忘れないでほしいな。そんな目を僕に向けるということは、僕が君に同様の視線を送ることを許容したことと同じなんだ。人を見下すということは、その見下される人と同じ位置に立たなければできないんだ」
僕の言葉に呆れたのか、彼女のため息が聞こえた。
「あなたとこの部屋にいると頭が痛くなってくる。私出かけるわ」
僕が初めて顔を上げると、彼女はハチミツと林檎のジンジャーエールを作る手を止め、キッチンを片付け始めていた。彼女は本当に出来た人で、僕のために得意なジンジャーエールをいつでも作ってくれる。「ジンジャーエール作るけれど何がいい?」と優しく聞く彼女に、僕は洋梨のジンジャーエールが飲みたいにも拘らずいつも「ハチミツと林檎のジンジャーエール」と答える。彼女が洋梨よりハチミツと林檎のジンジャーエールが好きなことを知っているのに、僕なんかの我がままを通すわけには行けない。僕に美味しいジンジャーエールを作ってくれる彼女の笑顔を壊したくはなかった。
 
 僕は立ち上がり、お気に入りの紺色のカーディガンを羽織る彼女に聞く。
「もうすぐお昼だよ。こんな時間にどこ行くの?」
「散歩よ。石ころのように部屋で転がっていればいいわ」
「待って、僕も行くよ」
僕はグレーのジャケットを急いで取り出し、部屋着の上に重ねる。その際にハンガーが床にポトリと落ちた。彼女はすでに一人部屋を出て行ったが、落ちたことを認識しながらハンガーを拾わずに行くのは心苦しくなり、指先で摘まみ上げクローゼットにかけ、今年で5年目の革靴を履き部屋を出る。時計が止まってから、僕と彼女のチョコレートの距離は消えた。
「待ってよ、ねぇ」
16戸だけの小さなマンションから出て、一人街を歩く彼女の背を追う。羽織った少し長めのカーディガンを風になびかせ歩く彼女の後ろ姿は、それだけで美しかった。優しく美しい神様の涙のような存在。こんな僕には絶対にもったいない人。野生の猿が世界一の高性能パソコンを持っているようなもの。キーボードの隙間は食べカスのバナナだらけ。
呼び止める僕の声が聞こえたようで、彼女は振り向いた。無表情を装ってはいるが、素直に立ち止まり走るのが遅い僕を待っていてくれる彼女は本当に優しい。怒っていても優しさが隠せない彼女の不器用さ、僕は好きだ。だからこそこんな僕の元には置いておけないとも思う。僕という檻の中に居ては彼女が可哀想だ。
「散歩ってどこに行くの?」
「どこに行くかなんて決まってないわ。だってこれは散歩なんだもん。風の吹くまま気の向くまま道を歩くの。そしてお腹がすけばパンかクッキーでも買ってたべてもいいし、喉が渇けばフルーツジュースを飲む。散歩にルールなんてない、自由に歩くの」
僕は覗き込むように彼女の横顔を見る。
「僕がついてきたこと、怒ってないの?」
「それに怒る理由はないわ」
「でも君は今確かに怒っている。どうして?」
薄いメイクをしただけの彼女も僕に目を向ける。
「無価値な人なんていないのよ。人間には誰にだって価値があるの。私にだってあなたにだって絶対に。ただそういうものは自分では見つけづらいから、自分を見失ってしまう人もいる。だけど無価値な人なんていない。誓ってもいいわ。私は折り紙をしているあなたが嫌いじゃないの。ただ上手くいかないからといって自分を無価値だとか見限るあなたの考えが嫌なの。だから自分の事を石ころみたいだなんてもう言わないで。そんなこと思っていたら心はどんどん汚れていくわ」
彼女の真剣な口調と目に僕はうなずく。
「うん」
下を向いた僕は彼女が水筒を持っていることに初めて気が付いた。彼女は大きめの水筒を肩から斜めにかけている。
「水筒持ってきたんだ」
「そうよ、お散歩に水筒は必要不可欠だから」
「用意がいいんだね」
「まあね」
彼女は小さく首を回し頬にかかった髪を払っている。
「じゃあ紙コップも?」
彼女はベージュのバッグを開き、中を探る。どうかしたのだろうか、閉じたままの唇を大きく左右に伸ばしている。困った時の彼女の癖だ。
彼女は手を止め、諦めたように顔を上げる
「忘れたわ」
バッグを腰に当て彼女は笑った。誰に言われるでもなく水面で神秘的に咲く睡蓮のような、僕の大好きな笑顔。
「どうする、部屋まで戻って持ってこようか?」
「そんなことしなくてもいいわよ。紙コップなんてどこでも売っているだろうし、なかったら水筒の蓋で飲めばいいのよ」
「でも蓋は一つしかない。でも僕たちは二人。これは大変な問題になるかもしれないよ」
コップ代わりの蓋が一つしかないことに焦る僕の脇腹を、茶化すように彼女がつついた。柔らかい指先。
「何よ、私と同じ蓋で飲むのは嫌?」
「ううん、そんなことないよ。でも君が嫌じゃないかなと思ってさ」
彼女は背を伸ばし、何も言わずに僕の頭をゆっくりと二度撫でた。これは彼女からの「心配しなくていいのよ」の合図だ。暗い山林の一部を照らす陽だまりのような温かさ。
 僕の表情を確認し彼女は一人歩き出した。
「さぁ、一緒に歩こう。こんなに穏やかな風と穏やかな空気があるんだもん。きっと私達の間違いだって許してくれるわ。歩いて仲直りしよ」
二人の喧嘩の原因を作ったのは僕なのに、仲直りの鍵を出してくれるのはいつも彼女だ。どうして君はそんなに優しいの? 僕は心の中で彼女の背中に問いかけた。
 肌を撫でる柔らかい風に吹かれ、僕たちは街路樹が静かに並ぶ色彩豊かな街を歩いた。風邪をひいた日のマルク・シャガールが色付けしたような街。久し振りに一緒に歩く街はいつもより明るく見え、彼女の声は秋の青空のように高く澄んでいた。初めて訪れた街のように路面店を見回す彼女の姿が僕にはたまらなく愛しく、そんなこと出来るわけもないのに彼女の背中を抱き留めたくなり、その時の彼女の表情を思い浮かべ一人笑う。きっとお洒落なバーで二つ隣に座る紳士が、突然シガーをカウンターに放り出しワイングラスを頭に乗せた時のような驚愕の表情をするに違いない。
 そんな僕に秋の空の音が鳴った。
「何してるの、こっちおいでよ。美味しそうなパン屋さんを見つけたの」
美味しそうなパン屋さん。パン屋さんは食べられないよと内心でつぶやき、手を振る彼女の元へ急いだ。
 少し古ぼけた外観の店には焼けたパンの香ばしさが漂い、店の中には陳列棚にはたくさんのパンが並べられていた。パン屋の店主らしき女性と彼女の話す声が聞こえてくる。
「このパンは何て言うんですか?」
「これはプレッツェルと言ってドイツ生まれのパンなのよ。成型方法は独特で、生地を紐状にして腕を組んだように結び合わせるの。小麦粉とイースト、それに塩と水から作られていて、焼く前にラウゲン液に漬けてから焼くの。トッピングは岩塩の粗塩が普通なんだけど、私のおばあちゃんはキャラメルを塗ってくれてたわ。子供の私が食べやすいようにね」
「わぁ美味しそう。それじゃあおばさんはドイツ出身なんですか?」
「そうよ、ドイツ南部のシュバルツバルト地方で生まれて、成人してからこの国へ来たの」
「じゃあおばさんの出身地のパンも紹介してほしいな。そのシュバルツバルトってところのパンありますか?」
太り気味の女性店主は腕まくりをして彼女の注文に応える。
「その言葉を待ってたのよ。シュバルツバルトは黒い森とも言われていてね、パンもその地名を模して作られているから色が独特なのよ。ほら、これよ。シュバルツバルトブロートというパンで焼成直前に生地表面に糖蜜を塗って焼き上げるの。見た目は悪いと思うかもしれないけれど本当に美味しいパンよ。おばさんの故郷の味だからね」
「本当に独特な見た目ですね。でもいい香り」
「でしょ。ちょっと待ってて、あなたとてもいい子だから味見させてあげる。ちょっと切って来るから待っててね」
「切らなくていいよ、おばさん。私大丈夫だから」
すでにカウンターの奥に消えた女性店主の声が、店内に響く。
「心配しなくていいの。あのね、形が悪くて売り物に出来ないのがあったから、それ切るだけだから。待っててよ、お姉ちゃん」
彼女は笑い僕を見る。
「味見させてくれるって。こっちきて、一緒に食べよ」
ナッツの上に焦げる寸前の香ばしいキャラメルを垂らし焼いたパンを眺めていた僕も顔を上げ、彼女に笑って見せる。
「凄い勢いのおばさんだね。僕一人なら飲み込まれてしまいそうだ」
僕が彼女の所へ行き、パンを見ながら話をしていると女性店主は皿を持ってすぐに戻って来た。皿の上には黒い森を模したというパンが二切れ乗っている。
 女性店主は彼女の隣に立つ僕を見て、驚きの表情を見せた。
「あら、二人連れだったのね。こちらは旦那さん?」
女性店主のすっとんきょうな思い違いに彼女は笑った。
「違いますって、彼氏ですよ。まだ同棲してるだけ」
旦那ではないという事実を伝えながらも彼女は僕の手を優しく握ってくれた。きっと傷つきやすい僕が傷つかないように。そして伝えることが苦手な好意を、僕に理解してもらうために。だから僕は彼女のほのかに暖かく薄い手を、少しだけ強めに握り返す。大丈夫、僕はわかっているよ。君が望んでくれるなら僕はずっと君といる。
彼女は小さな口にパンを頬張り、僕にもパンの一切れを差し出す。よく見ると薄く切られたパンにはクリームチーズが塗られていた。白いお皿の上に寂しく乗るパンの姿に、僕は何故か子供の頃何度も遊びに行った祖父母の家の香りを思い出す。秋の夕暮れのなか椅子に座り僕に微笑む祖父母の姿。遠い日の二人の姿と香りに急に涙腺が緩み、僕は泣き出さないようパンを口に放り込んだ。彼女は女性店主を見る。
「うん、これ本当に美味しい。歯ごたえもあってライ麦みたいだけど、小麦粉の香りがする。これにレーズンとか入れても美味しそう」
「レーズン好きだもんね」
うなずく彼女に店主は言う。
「あなた鋭いわね。ドイツパンにはライ麦を使ったものが多いけれど、これは小麦粉を使っているの。フルーツワインと合わせてもいいし、あなたの言う通りこのパンにレーズンやイチジクを入れることもあるわ」
彼女は笑い、僕に視線を向ける。『どう?凄いでしょ』
僕も同じように彼女の目を見る。『君は本当に凄いよ。まるでパンの女神さまだ』
時計が止まって以来の、本当に久しぶりの視線での会話。僕たちだけの得意技でもある。
僕たちが視線だけの会話を交わしていると店主が「お似合いの二人ね」とつぶやいた。
その言葉で視線遊びは中断され、彼女はパンの注文を始めた。
彼女は決して多く食べれる方ではないが、気に入った店を見つけると食べきれないほどの量を選んでしまう癖がある。けれど彼女は全てのものに感謝の気持ちを持てる人だから、余っても絶対に捨てることはせず無理をしてでも食べきるのだ。そしてお腹がパンパンにも拘らず満足した表情を僕に見せる。その表情も僕は好きなのだけれど、彼女には無理をしてほしくはなく、小声で告げる。
「あんまり買いすぎちゃ駄目だよ。君と僕で食べきれる量を見極めないとね」
「わかってるわ」
それでも彼女はお腹の定量にクロワッサン一個分足りないくらいの量を買ってしまった。
最後に彼女が女性店主の故郷のパンをトレイに乗せると、店主は随分と喜び「内緒よ」と僕たち以外に誰もいない店内で人差し指を立て、シュバルツバルトブロートに彼女の好きなレーズンとイチジクを入れて作ってあげるとサービスを申し出て、パンが焼き上がるまで僕たちは少しの間待つことになった。そして女性店主が僕たちに一言。
「イチジクの花言葉は『実りある恋』『子宝に恵まれる』なのよ」
僕たちは顔を赤らめお互いの顔を見た。首をすくめ見つめあう二人の姿は実に滑稽なものに映っただろう。
 店から出て僕たちは噴水がある広場のベンチに座った。僕と彼女の間にはチョコレート一枚分の距離。自ら吹き上げた水で美しい造形を描く噴水の周囲を、風船を持った男の子が一人声を上げて走り、その姿を微笑み見つめる母親の姿。どんなものにも代えがたい幸福で幸せな光景に、僕はまた泣き出しそうになり涙を堪えた。
 どうして僕の感情は高ぶりやすいのだろう。世界一の船乗りでも乗りこなせない感情の波が、僕の胸の内に常に打ち寄せ続けている。
「どうしたの」
僕の意思に反して眼球から溢れだしてくる涙を拭っていると、彼女が不思議そうに声をかけて来た。心配性な彼女に僕は笑顔を見せる。
「なんでもないよ。ちょっと眠たかっただけ」
彼女も僕と同じように笑った。世界中から集めた幸せが僕の隣にある。
僕たちは小鳥が巣から旅立つくらいの短い時間見つめ合った。雲の上から杖を振る神様が与えてくれたかのような幸せな時間。しかし幸せな時間にはイタズラ猫が付いて回る。
「さっきお店の中で泣いていたでしょう」
楽しそうなイタズラ猫の声。
「泣いてないよ」
「嘘。おばさんが出してくれたパンを見て泣いてたわ」
僕は言葉に詰まる。僕は嘘をつくことも苦手なのだ。
「少し涙ぐんだだけ。あのパンがおばあちゃんが作ってくれたパンに何となく似ていたから、昔を思い出しちゃってさ」
彼女は僕から目を離し空を見上げる。彼女の心をそのまま映し出したかのような一点の濁りもない綺麗な空。世界中の人々が心にこんな空を持っていれば、争いなど起きないはずだ。天秤の上に軍事力を載せどちらが偉大かを測りあう国々の寂しさ。何故笑顔の多さでは国力を測れないのだろう。
「子供の頃のあなたも見てみたいな。どんな子だったんだろう。きっと真面目でお行儀のいい子。けど目を離すとイタズラを始めちゃう元気な子なんだろうな」
僕は自分の知る幼き日の僕と、彼女の想像上の子供の時の僕を重ね合わせる。彼女は過去を覗き込める目を持っているのだろうか。微々たる違いこそあれど、彼女が思い浮かべている僕は限りなく僕に近い。
 あえて彼女は言わなかったのかもしれないが、僕は彼女の表現しきれなかった僕を僕として決定づける欠点を口にする。
「そして誰よりも泣き虫なんだ。僕はどんな時でも泣いていた。この癖は涙の神様が僕の心の根幹に住み着いているからなんだ。でも何とかして治さないといけないね。パンを見て涙ぐむなんて駄目だ」
彼女の細く長い指が、僕の指をなぞる様に撫でた。
「それがあなたのいい所なのよ。誰よりも感受性豊かで喜びや幸せを人よりも多く感受できる。その分悲しみも多く受け取ってしまうかもしれないけれど、あなたはきっと乗り越えられる。あなたは強い人だもの」
「僕が強いだなんて実感がまるでないな」
「あなたが強いからこそ、涙の神様はあなたの心にベッドルームを作ったのよ。安心して住むことのできる壊れることのない心にしか涙の神様は住まないの。きっとあなたは神様に認められたのよ」
また言葉に詰まる僕を予測したのか、彼女は言葉が終わるとすぐに袋からパンを取り出した。
「それよりパン食べよ、焼きたてなんだって。ほらまだ温かいよ」
人を困らせることを嫌う心の優しい人。僕なんかにはもったいない。まるで安らぎの園から抜け出した天使のよう。
 僕は彼女が半分に割ってくれたパンを食べる。焼けた生地の中には彼女の大好物のレーズンとナッツがたくさん入っている。彼女にとっては宝箱のようなパンだろう。
至福の味をこぼさないように彼女は口元を抑える。
「これ凄く美味しい。ね、食べてみて」
彼女に言われるままパンを食べると、僕の口の中に香ばしいナッツとレーズンの風味が広がった。そしてメープルの甘い口どけ。
「うん、本当に美味しいね。ソクラテスの哲学のようにバランスが取れている」
「ソクラテス。あなたの尊敬する人ね」
「哲学という人の心理の本質を追い求める学問の基盤を作り上げた人だからね。でも多面的な性格を持ち合わせていたから、彼の思想態度を理解することは難しいんだ。でも着眼点を変えれば多くの見方が出来る哲学的思想からも、未だに彼の足跡を追う人は絶えない」
「私は哲学のことはわからないけれどきっと凄いことなのよね」
「凄いことだよ。そしてこのパンもそれと同じだけの凄さを持っている」
彼女はまた僕の目を見る。彼女の視線から僕は彼女の思いを感じ取った。『このパンは凄いのね。つまりどういうこと?』彼女からの優しい問いかけに僕は口を開き答える。
「幸せの味だよ」
彼女は聞く。
「幸せの味?」
「うん、君と一緒に座って同じパンを食べれるなんて、こんな幸せなことはない」
気のせいかもしれないが僕には彼女の頬が少し赤らんだ気がした。どんなメイクよりも美しい、感情のファンデーションだ。海を照らす熟す前の若々しい夕日。
「私もよ」
短いけれど嬉しさが沸きあがってくる言葉。幸福の樹になる幸せという果実が僕たちの手にポトリと落ちた。きっと胸躍るトロピカルな味。種があれば鉢に植えてみよう。将来僕らの部屋から幸福の樹が世界中に幸せの果実を落とすようになるかもしれない。
 僕が幸せな感情と戯れ目をつぶっていると、「あっ」と彼女が声を出した。
目を開けると噴水の周りを走っていた男の子がつまずき転んでいた。僕と同じ髪の色の男の子の手から手離された風船は、秋の空を目指しゆっくりと上昇していく。風に吹かれながらも健気に上を目指していく風船の行方を追っている僕の耳に、男の子の泣き声が聞こえてきた。悲しみの雲をわしづかみにして振り回すかのような泣き声。
「ああ、可哀想」
母親が駆け寄り、落ち着かせようと頭を撫でられている男の子を見て彼女は心配そうな声を出す。怪我はないようだが、涙をこぼしながら空に昇る風船を見つめる男の子。そして今日という日の宝物を手離してしまった男の子に同調し悲し気な表情を見せる彼女。小さな出来事にも大きく衝撃を受け悲しみの海に浸ってしまうという僕たち共通の不具合。
 僕は一人ベンチから立ち上がった。彼女と男の子、この二人を悲しませたまま何もせずにはいられなかった。僕は問題解決能力の極めて低い人間だ。問題を前にまた宙を仰ぐだけかもしれない。それでもいい、僕に出来ることをすればいい。
「どうしたの?」
驚く彼女に僕は笑いかける。
「ごめんね、ちょっと行ってくる。今日の宝物は飛んでっちゃったけれど、僕がズルしてもう一つのプレゼントをあげる。彼が気に入ってくれるかはわからないけどね」
僕は彼女の太ももに乗っていたパンを包んで皺だらけになった紙を手に取り、噴水から吹きあがる水の陰で泣く男の子の所へ歩いて行く。僕は振り向きはしなかったが、後ろから彼女のフラットシューズの足音が聞こえてきたため彼女もベンチを立ったことが分かり、珍しく僕を追う形になった彼女に見えるように強く背中を張った。大丈夫だよ。きっと僕だって大丈夫。こんな僕にだってできることはある。
両親が教えてくれた言葉、それが今の僕の胸の中で響いていた。『希望を持っている限り人には不可能なんてない。ただ希望を手離したその手にいつの間にか握られているもの、それが不可能だ』
 突然やってきた僕を見て男の子の母親は驚いたようだけれど、後ろからついてきた彼女を見て少し安心したようで、困ったように僕たちに笑いかけた。そんな母親に僕は頭を下げ男の子の前にしゃがみ込む。
 見知らぬ男の顔に空を塞がれ驚いたようだけれど、そのショックが相まってか僕の陰に入り込んだ男の子の涙は止まったように見えた。
「風船、残念だったね。でもきっと空の上にいる誰かが大事にしてくれるよ」
男の子はまた下を向いてしまう。この男の子にとってあの風船は大事なものだったのだろう。当然だ、子供のころ手にするものには全てに好奇心と喜びが詰まっているのだから、それを手離してしまったショックは計り知れない。
「君の風船の変わりにはならないかもしれないけれど、僕からプレゼントをあげるよ。だからもう泣くのは止めよう。下ばかり向いていると喜び泥棒という悪い人がやってきて、君の楽しい気持ちが奪われてしまうよ。だから僕と一緒に上を見よう」
僕の顔を心配そうに見つめる男の子の目。
「お兄さんは喜び泥棒じゃないよね?」
男の子は小さな声でつぶやいた。だから僕は精一杯の笑顔を作る。
「心配しなくていいよ。お兄さんは君の味方だ。だからちょっと見ててね」
「うん」
しゃがんでいた僕は片膝をつき、膝の上でパンを包んでいた厚めの紙を半分に裂き、二枚になったその紙を手早く折っていく。折り紙は僕の子供のころからの得意技で、今では生活の一部にもなってしまっているほどだ。そんな僕の手際の良さに男の子が目を月のように丸くしたのも当然のことかもしれない。
「はい、出来た」
僕は男の子の手に二枚の紙を折り重ねたひし形のプレゼントを置く。オシャレなケースや袋には入っていないけど、僕に出来る全力のプレゼント。
 男の子は不思議そうに僕に聞く。
「これ、何?」
「これはね日本という国に住む、忍者という戦闘集団が使う武器で手裏剣というんだ。忍者はこの手裏剣をフリスピーのように投げて敵を倒す。手裏剣は日本に行かなきゃ買えない貴重品だよ。ほら、こうやって投げてみて」
僕は祖父から教えられた手裏剣を投げる動作をして見せてあげる。もちろんTシャツの襟を鼻の上まで上げて口を隠して。祖父の話では口を見せないのが忍者の正しい作法らしいから。
 男の子は僕の動作を真似て手裏剣を縦にして遠くまで投げた。
それとほぼ同時に男の子は「わぁ~~~」と声を出す。手裏剣は空を切るかのように飛び、コンクリートで舗装された地面に落ちた。たった3秒ほどの空中散歩。
だが男の子はそんな急造品にも満足してくれたようで、手裏剣を拾い満面の笑みで手を振ってくれている。
「お兄ちゃん、ありがとう」
僕も男の子に大きな声を出す。
「喜んでくれたなら良かった。でも噴水の方に投げては駄目だよ。忍者の武器は水には弱いから」
男の子に手裏剣の扱いについての注意喚起をしていた僕に、男の子の母親が声をかけてきた。
「あの、ありがとうございました。あの子なかなか泣き止まないから助かりました」
勝手に変な物を渡したことに不快感を抱かれているかもと、少なからず緊張の糸を張っていた僕は母親の感謝の言葉に胸をなでおろした。
「いえ、僕の方こそ勝手なことをしてしまい、申し訳ございませんでした」
母親は笑って首を振る。
「そんなこと言わないで。それよりあなたが作ってくれた、手裏剣でしたっけ。あれの作り方を私にも教えていただけないかしら。あの子よく物を無くしてしまうし、私も手裏剣をプレゼントして喜ばせてあげたいの」
ここにも心優しい人が一人。彼女やこの母親のような人ばかりの世界なら、僕だって翼を広げ大空を飛べるはずだ。吹く風は透明な青で、見渡す世界は木々の緑。その中を人々がバスケットにパンやフルーツを詰め込み歩いている。平和の色だ。
「いいですよ。二枚の紙を使うから簡単な方ではないけれど、きっとすぐに覚えられますよ」
そして僕は母親の隣に立つ彼女を見る。『もう一度折るけどいいよね?』
彼女はうなずく。『もちろんよ。是非折ってあげて』
僕と彼女の間だけの視線での会話。彼女はバッグから薄い四角のメモ帳を取り出し、二枚を切り取り僕に渡してくれた。でもさすがに噴水の横の地べたで紙を折っていたら不審者に見られるだろうから、僕たちはさっきまで座っていたベンチまで戻り、日本に数多くいるという忍者の武器である手裏剣の製作方法を伝授する。僕が祖父から教わった秘伝の製作法だ。
 そして僕はメモ用紙から折り紙へと存在価値を変えた紙を説明を交え、ゆっくりと折りこんでいく。口下手な僕の説明が男の子の母親にどれだけ伝わっているのかはわからないけれど、僕は僕なりに精一杯丁寧に教える。
なかなか折り方を理解出来ないようだったため、僕は折り終えた手裏剣を何度も開き、男の子の母親が一人でも手裏剣を折れるように教えてあげる。かなり時間が経ったように思えたけど、初めて一人で手裏剣を完成させた時の母親の顔は、僕が手裏剣を渡した時の男の子の顔と同じで、喜びに満ち溢れていた。
だけど男の子よりもその母親よりも一番喜びを感じていたのは僕だったのかもしれない。何の役にも立たないはずだった僕の折り紙で、こんなに喜んでくれる人たちがいたのだ。嬉しくないわけがない。重力に負けず空の果てまで飛んでいく夢の紙飛行機を折り上げた感覚。男の子の母親は僕の手を取る。
「ありがとう、私物覚えが悪いから大変だったでしょうけどもう覚えたわ。今晩帰ったらあの子に作ってあげるの」
「頑張ってください。一度覚えればきっと忘れないから」
「作れなかったら解体してみるわ」と言い、男の子の母親は僕が教え終わるまでに折った手裏剣を全て持って行った。もしまた会うことがあれば笑顔で手裏剣作りに成功したと報告してくれることだろう。
 まだ手裏剣を投げて遊んでいる男の子の所に戻る前に、母親は彼女の耳に顔を寄せた。何か話しているのだろうけど、僕には全然聞こえない。
「今日は本当にありがとう」
最後に男の子の母親は僕たちに手を振り去っていった。手をつないで歩いて行く男の子と母親の姿に、これからもどうか幸せであってほしいと僕は願った。今日という日は二度と戻ってこない、だから今を大切に、と。
 遠ざかっていく二人の姿を黙って見ていた僕に彼女が言う。
「お疲れさま。座ろ」
僕にとっての幸せな時間をくれる彼女。
「うん、そうだね。座ろう」
椅子に座った彼女は、すぐに水筒の蓋を開けそこに水筒の中身を注いだ。コポコポコポ。誰かが自分のために水筒から飲み物を注いでくれる音は、オーケストラの名演と同じだけ胸を打つ。僕の隣で彼女によって奏でられる幸せのハーモニーに、僕はまた泣きそうになった。
僕の胸でバスドラムが鳴っている。
「はい、どうぞ」
水筒の蓋を手渡された僕は彼女に聞く。
「あのお母さん、君に何て言ったの?」
「あなたのこと、『素敵な人ね』って」
蓋の中の液体に映る僕の顔を見ながら口を開く。
「信じられないな」
「私はあのお母さんの言う通りだと思うわ。あなたは素敵な人よ」
ためらうことなく僕のことを素敵だと言ってくれる彼女。恥ずかしくなった僕は話を逸らすため、また質問をする。
「これは何を入れてくれたの?」
「大丈夫。心配しないで飲んでみて」
僕は蓋の中を三分の二程満たしている液体を飲んだ。心の底から優しい彼女が言うのだから飲んでも間違いはない。
「あっ、これ」
僕は短く声を出し、また蓋に口を付ける。僕の口の中に流れ込んで来る良く冷えた液体には洋梨とジンジャーの味がして、その二つの味を支えるようにレモンの風味。僕の大好物だ。
「洋梨のジンジャーエール」
何も言わず彼女は笑ったままうなずいた。
「僕がこれ好きなこと知ってたの?」
「うん」
「でも言ったことないよ」
「前に二人でアロマショップに行ったでしょ。ほら、プルメリアとハイビスカスのアロマオイルを切らした時に。そのお店にいろんなジンジャーエールのボトルが置いてあって、あなたアロマオイルを探しもしないで、ずっと洋梨のジンジャーエールのボトル見てたから、『あっ、きっと洋梨好きなんだな』って」
「バレてたんだ」
彼女の顔にまたイタズラ猫が表れた。近づくと飛びつかれそうな危うさと愛しさを持つ表情。
「バレてたのよ」
また僕たちに向かい柔らかな風が吹いた。僕のミスを全て拭い去ってくれるかのような透明な肌触りの風。
「そっか、そういうところも治していかなくちゃ駄目だね。もっとしっかりしないと」
洋梨のジンジャーエールを飲む僕を彼女は見つめている。嬉しさと同時にくすぐったさを感じる視線。
「何?」
「さっきは格好良かったよ」
僕は彼女の顔から視線を少し下げ、白い首を見る。
「そうかな」
「あなたは変わりたいと思っているんだろうけれど、そのままでいいのよ。あなたはあなたのままが一番いい」
「でも君の言う通り折り紙ばかりしていても仕方ないから、怖がってばかりいないで社会に足を踏み出さなくちゃ」
青い空を見上げる僕の耳に、彼女のジャコビニア色を思わせる優しい声が届く。ピンク色の花束だ。
「社会に出るということは、働きお金を稼ぐだけではないんじゃない。あなたは素敵なプレゼントであの親子に笑顔を咲かせてあげた。人の助けになり、人を笑顔にさせてあげる。あなたが今したことだって立派な社会活動だわ。周りの声に惑わされないで。あなたにはあなたの生き方がある。あなたは幸せのアロマフューザーのような人だから、いつでもどこにいても人を笑顔に出来る。それでいいじゃない。社会が作ったまとも人間像の型枠になんか入らなくたっていい。あなたの思うように生きて、あなたが出来ることを頑張ればいいの」
彼女からのありがたい言葉に僕は感謝の気持ちと一つの疑念を返す。
「ありがとう。でも話をぶり返すようだけどお昼前の君は、折り紙ばかりやってる僕に怒ってたよね」
イタズラ猫は少し困った表情を見せる。彼女に厳しいことを言ってしまっただろうか。急に謝りたい気持ちが沸いてきたが、彼女は微笑んだまま僕の頬を軽くつねった。
「いいじゃない。さっきは少しビターな気持ちだったの。でももう大丈夫、今日あなたとお散歩して気づいたから」
「何に気づいたの?」
彼女は僕の顔を正面から見て笑顔で一瞬目を大きく広げた。幸せの湖のように綺麗な瞳。
いま彼女が何と言ったのか伝わり、心の中の僕は大きく跳ねた。
 僕たちの間でおなじみの視線のキャッチボール。いつからか、僕たちは言葉など使わなくても気持ちが通じ合うようになった。僕は彼女の言葉を受け取り、何を言いたいのか理解する。きっと彼女の意思通りの言葉を僕は受け取ったはずだ。だからこそ言える。
「こんな僕でいいんだね?」
「そんなあなただからいいのよ」
細い手が僕の背中を撫でた。
「ありがとう」
「ついていくわ。どこまでも」
チョコレート一枚分の距離を開け寄り添う僕たち。この距離が縮まる日もそう遠くないはずだ。穏やかな風に揺れる彼女の髪の毛が僕の肩に触れる。フェンネルと一吹きだけした香水の香り。僕は彼女の優しい香りを吸い込み、口を開いた。
「なんか今日なら新しいスタートを切れそうだ。帰りに電池を買って行こう」
彼女は首をかしげる。大好きな愛しの仕草。
「電池?」
「まずは部屋の時計を動かすんだ。僕たちが動き出すんだから、あいつも一緒に動かしてやらなくちゃ。あのカチカチと刻む秒針の音も、今じゃ無いと寂しいし」
「うん。そうだね、ずっと私たちの時間を刻んできた時計だもんね。電池を取り換えるついでにしっかり拭いてあげよう」
「ホコリの毛布をかぶってるからね」
フレグランスショップの店先からフランス・ニースのバラを使った香水の香りが風に乗り、僕たちを包んだ。硝子細工のように綺麗な二人だけの時間。僕にはカチカチという秒針の音が聞こえた気がした。
「ホントにいいスタートが切れそう」
「うん、本当に」
バラの香りがまた一吹き。彼女はベンチに手を付き首と足を延ばしている。
「こんな時間が、毎日が続けばいいなぁ」
「大丈夫。きっと続くよ。続けていこう」
僕は立ち上がり彼女の手を引く。
「行こう」
足をそろえ彼女は立ち上がった。。
肌を柔らかな風が撫でる中、チョコレートの距離で僕たちは互いの目を見る。
『僕に付いて来て』
『うん、どこまでも』
カチカチ 秒針の刻む音がまた鳴った。

                        芝本丈


最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月5日火曜日

たまには模倣を


 人の作品を真似て出版することはいけないですが、自分の技術を磨くための練習としてなら模倣はとてもいい手段だと私は思っています。
 私が技術不足の時にしたことは、一番好きな作家さんの作品を自分で書き直していくことです。
きっと小説好きの人なら一冊か二冊は何度も読み返した本があるでしょう。そういう作品ならば大まかな流れは頭の中に入っているはずです。
 それを一心不乱にパソコンに打っていく。もちろん作品は見ないで自分の頭の中で再構築した言葉で打つのです。ミスがあったっていいんです。自分が感銘を受けた作品を、自分が作った流れの中で打っていくことが大事。自分が好きだった一場面でもいいですし、一冊丸々書いてみてもいい。とにかく真剣にやることが大事なのです。
 そして出来上がった作品とお気に入りの作家さんの小説を見比べるのです。きっと多くの人がその落差にショックを受けることでしょう。私もこれを始めてやった時は自分の文章の稚拙さ加減に打ちのめされましたから。
「立て、立つんだジョー!」





「うるっせぇな、立たねぇよ。俺はもうやめた」






こんな状態になったことも

 ですが実際に見比べてみるといろいろ見えてくるものがあるのです。
「あ~ここではこんな表現を持ちいて、あえてセリフとして書かないんだ」「なるほど、ここで改行するんだ」など作家さんの技術も見えてきますし、作家さんの癖もわかってきたりします。「あっ、ここでもこれを使ってる」みたいな感じで。
 これをしていくと自分の粗が多く見えてきますから、自分の作品の改善にもなりますし、小さな迷いが吹っ切れることもあります。あの作家さんもこうだったんだから、わたしもこれでいいや、と気楽にもなれますし。
ですので今一度技術の向上を図りたい方は、好きな作家さんの模倣をしてみることもありかと思います。
 大事なことはただ一つ。作家さんと今の自分との落差に打ちのめされても、





これ状態にはならずに、必ず立ち上がることです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月4日月曜日

執筆とチョコレート

 仕事の合間に今度ブログに載せようと思っている短篇の構成を考えているのですが、テーマとしてはビターチョコレートのような話にしようと考えています。
それで今日は小説の執筆とチョコレートの話をしようと思います。
私にとって執筆時にチョコレートは欠かせない物であります。何故かはわかりませんが筆が進むのです。
そして執筆中の私にはチョコレートに対する強いこだわりがあり、カカオ濃度が70%から80%のものしか口にしません。(生活の中で食べるならチョコに対してこだわりはないのですけれど、集中した作業をする時にはカカオ70%から80%でなければだめなのです)

そしてチョコレートには抗酸化物質(老化防止)と言われているカカオポリフェノールの他にも、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラル分や食物繊維も含まれていて、70%のカカオ濃度のチョコレートには更にフラボノイドやテオブロミンなど健康に良い成分ずくしの素晴らしい食物なのです。
そしてこれは学術的な見解ではありませんが、芝本の見識では、
ビターチョコレートは執筆に欠かせない物!
なのです。

何せ、ビターチョコを食べると頭が回るのだから仕方ない。そしてそこに、濃いめのアイスコーヒーがあれば尚いい。私は騎手にムチ打たれる競走馬のような勢いで働くのです。
ゴールのないゴールに向かって。

ビターなチョコレートと作品の先にある読者の満足する顔を想像することが、仕事の活力になっているのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月3日日曜日

感謝の気持ち


 私は感謝の気持ちを忘れないように生きている。
辛い毎日の中でも毎朝目が覚めてくれることに感謝、仕事でてんてこ舞いになる毎日について来てくれる自分の体に感謝、そんな丈夫な体に産んでくれた親に感謝、毎週毎月のように飲みに付き合ってくれる友人達にも感謝。そして作品を読むごとにメールやメッセージをくれる方たちにも感謝。
普段は当たり前すぎてありがたさに気づかないけれど、私には感謝すべきことが多くある。
 しかし感謝してもしきれないほどの感謝の気持ちがあるにもかかわらず、それを直接言葉に乗せ伝えることは難しい。
考えてみれば私は世界で一番感謝している親にさえ、真剣に感謝の気持ちを伝えたことが無いかもしれない。「ありがとう」などの言葉は何度か伝えたとは思うが、どれも照れ隠しが出てしまっていて真剣ではなかった気がする。

 そしておかしなもので感謝の気持ちが強まれば強まるほど、その気持ちが伝え難くなってしまう。このまま生きていれば一生感謝の気持ちを伝えきれずになりそうで不安だ。
そんな不安を抱えながらもきっとすぐには実行に移せないであろう。
 だからせめて、感謝の気持ちを伝えられない代わりに
シバジョースマイルを多くの人に振りまいて行こうと思うのです!

笑顔の押し売りです


最後までお読みいただきありがとうございました。

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2017年9月2日土曜日

人気ブログランキングの事


昨日ブログを開設して4年近くたつという人と話すことが出来ました。
何度かブログの引っ越しはしているみたいですがアップした記事の合計は800を軽く超えるとか・・・ 


まだ記事数が50にもみたいな私からすれば、考えも及ばない数字です。
その方はkさんとしておきます。kさんは私も参加している人気ブログランキングをされていて、二年以上も一位を保持してきたと言います。
なので私は聞いてみましたよ。
私「どうやったらそれだけアクセス数があって、その上応援のクリックをしてもらえるのですか」と
するとkさんは言うのです。
kさん「そんなの簡単だよ。ブログを見てくれている人達から信頼を得ればいいんだよ」
私「信頼とは?」
kさん「毎日記事をアップし続けること。これに限るね。どんなにつまらない記事でもいいから、とにかく毎日アップする。シバジョーさんだってそうだと思うけど気に入ったブログがあったとしたら、時間があれば毎日見に行くでしょう。楽しみだなぁ、更新されてないかなって。で、更新されていないと、あぁ今日も更新されてない。じゃあ応援のポチもいいやってなっちゃうわけ」
気分がノッて来たのか、ここでビールを半分開ける。
(おいおい、お酒弱いって言ってたのに大丈夫か)
kさん「それでね、たまにでも自分の好きな記事をアップしてくれるブロガーさんが、いつもはどんなにつまらない記事を書いていても毎日更新されてるだけで、ブログに訪れる理由になるしクリックもしてくれるわけ。今日もクソ記事かぁ~、でもたまにいい記事書くからクリックしてやるかってなるの。一日たった一回のクリックでも積もれば山になるの。だから毎日更新して信頼を得ることが大事。毎日ブログに来てもらえるようにね。そうするようにしてから僕、人気ブログの某ランキングでずっと一位だよ」
と、お話してくれました。
うむ、つまり要約すれば毎日更新しろという事ですね!

その後もブログ談議で盛り上がり、帰り際kさんは言いました。
kさん「僕今日けっこういい話したでしょう。だから今日のこと記事にしてよ。そして僕のブログも紹介しておいてね」
そして酔いが回った彼は居酒屋の代金を払わずにタクシーへ。
ふふふ・・・ ふふふふふ・・・ 甘いなkさん

自分で飲み食いしたお金を払わない人のブログを私が紹介するとでも?
そんな上手い話がこのご時世どこに転がっていると思っているのですかな?

ですがkさん、昨日のことはしっかり書いたので、これでいいでしょう。
約束は果たしたぜ!




また飲める日を心待ちにしております。今度は私が散々飲み食いして奢らせてあげますよ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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