2017年12月21日木曜日

香りの文学的表現


香りを文学的に表現することは、作家によって大きな力の差があります。どんなに素晴らしい作品を書く作家さんでも、香りを表現することは不得手な方もいますし、逆にいつもつまらない作品を書く作家さんでも、驚くような香りの表現をして読者の心を揺さぶることもあります。ということで本日は香りの文学的表現についてのお話です。

 

 作家がどれだけ素晴らしい香りを知っていて、それを作品の中で表現しようとしても、その香りが直接読者に届くことはありません。言葉でそんなことが出来るならノーベル賞を総なめに出来るでしょう。

香りは目に見えるものではなく、作家が言葉にして香りを伝えようとしても、それはすでに作家の主観が生み出したものとなってしまいます。感じた香りや、思い浮かべた香りを頭の中で組み立て言葉として作品に載せた時には、その香りは作家の主観の入り混じった、もっと言うならば作家の作った香りになってしまうのです。

 しかし私たちはその作家の主観の塊である香りに、心打たれることもあります。それは何故か? きっとその答えは、私達が一つの作品を読んでいくうちに、作家の作り出した文学に糸に絡めとられ、香りを表す言葉を「文学の吐息」として受け取っているからでしょう。

 

例えば「私はこの香りが好き」という表現があったとします。このセリフを言ったのが女性だとして、これだけしか情報が無ければ漠然としすぎていて、全く香りの想像が出来ませんよね。ここに一つ言葉を足して「私はこの甘い香りが好き」と書いても、甘いということしか香りの情報が無いので読者には何も伝わりません。

では、「私はこの甘い花の香りが好き」これならどうでしょう? なんとなく香りの輪郭は掴めてきていませんか? 

そしてここでさらに読者に彼女の好きな香りの情報を与えてあげます。

「私はこの甘い花の香りが好き」そういって彼女は香水を手に取った。 

これで彼女は甘い花の香りがする香水を見ていることがわかりましたね。このように言葉を足していくことで、一文でも読者に伝わる情報量がまるで違うのです。そして仕上げに香りを具現化してあげます。

「私はこの濃厚な甘さを持ってるジャスミンの香りが好き」そう言って彼女は香水を手に取った。

これなら大分香りは伝わるはずです。もう少し情報を足すことは出来るのですが、本日は文学的な香りの表現がお題ですので、これ以上分かりやすくしてしまっては、靄がかった文学性がなくなってしまうので、これくらいにしておきます。

しかしこのままでは、正直言って文学性はかなり低いですよね。ではどうするか。この女性のセリフをいじくって文学性を持たせることも出来なくはないのですが、それではどうしても作り物っぽくなってしまいます。だとしたらいじれる場所はあと一つ。【そういって彼女は香水を手に取った】ここですね。では、ここに少し文学性を覗かせてみましょう。

【そう言って彼女は、頬に乗せたチークと同じ温かみのある、薄いさくら色の香りを手に取った】こんな感じでしょうか。純文学に関していえば、このように読者にも考察の余地がある靄がかった表現が多々使われます。

これと先ほどの彼女のセリフを合わせると

 

「私はこの濃厚な甘さを持ってるジャスミンの香りが好き」

そう言って彼女は、頬に乗せたチークと同じ温かみのある、薄いさくら色の香りを手に取った。

 

どうでしょうか? これだけでも文学的な香りの表現になっているでしょう。一見難しいと思われるかもしれませんが、経験を積んでいけばこのくらいは出来るようになります。本来ならばもう数行使い、香りなどをより文学的に表現したいところですが、あくまでも例文ということで。

練習方法は簡単です。自分で何か適当な文を作って、そこに情報と文学性を詰め込んでいくだけです。そしてそれを何度も何度も繰り返す。一日の課題として仕事に行く前に例文を一つ考え、帰宅して寝るまでに、その例文に厚みが出るように練習するのもいいですね。←実はこれ、今でも私はやっています。

例えば「彼は笑いコーヒーを飲んだ」や「彼女の指のネイルを見た」 こういった例文を作って、これを一つの価値ある文に変えていくのです。言葉を足し文を少し変えるだけでも、文学の吐息を感じさせるものになるはずです。

 

最後に香りを表す表現をいくつか載せていきます

・鮮やかな香り

・感動するような香

・深みのある独特の芳香

・心に残る香り

・清香

・香り高い

・穏やかな香り

・香水のような香り

・瑞々しい香り

・すがすがしい香り

・花びらの懐の香り

・人を誘い酔わす色 ←あえて香りと書かない事で文学性を高めることも可能です

・眠気を誘う音が香る ←香りの表現の際に使わないであろう表現も時には大事です

・すみれ色の香り、バラ色の香り ←ひと工夫で読み手の受け取り方が違ってきます

・チュベローズの雫が落ち、淡い緑が心の隙間に広がった ←チュベローズやカモミールなど直接香りが伝わるような単語を使いながらも、抽象的に表現するのも面白いですよね。 
 
このような表現法を頭の中に置いておくだけでも、小説を書いていくときに意外と役立つものですよ。

 

  

  シバジョーのつぶやき

1週間ほど前から急にiPadの動きが悪くなりました。まだ買ってから3年しかたっていないというのに、もう壊れたのでしょうか。でも半年ほどで壊してしまっという話も聞くので、iPadで3年もったのはいい方なのかな。しかしウチの電化製品はどうして年末に壊れやすいのだろう。去年は電子レンジとテレビがほぼ同時に壊れたし、一昨年はパソコン、そして今年はiPad。この忙しい時に無くては困るものが壊れてしまうのは本当にキツイ。

でも体が壊れてないことに感謝しなければいけないとも思います。
 
 
 

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