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2017年7月30日日曜日

真珠の耳飾りの少女とムンクの叫び

この作品はいいタイトルが思い浮かばなかったもので、二つの作品名をそのまま使わせていただきました。私は美術品が好きでして、子供のころから頭の中で絵画の中の人物たちや銅像などに会話させたりしていました。そう言った脳内での遊びは今も止められず、「風神雷神図」の雷神とピカソ作の「泣く女」を会話させてみたりするのです。軽妙な雷神の口調と、熱を感じさせない冷めた口調の泣く女。頭の中では馬鹿話をさせ一人でニヤ付いたりしてますが、今回は一つ真面目に作品を作ってみました。
話に使わせていただいた美術品は、ヨハネス・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」とエドヴァルド・ムンクの「叫び」です。この二つの作品は描かれた国も年代も異なっているわけですが、そういった作品同士を向かい合わせるのもなかなか面白いもので。
今回の作品も是非ご賞味いただきたく思います。






・真珠の耳飾りの少女とムンクの叫び

誰かの不安を映し出したかのような赤い空の下、青いターバンを巻いた少女は一人歩いていた。血のように赤い空よりも、少女は自分の耳にかけた真珠の耳飾りが落ちてしまわないかが気になっていた。ただ気になると言っても、それはほんの些細な思い。冬を待つ大樹から一枚の枯れ葉が落ち、自らの根に乗る土の上で命の終わりの音を鳴らす。そんな些細な事だ。

 薄暗い街から届く赤い風に吹かれ歩いて行くと、長い橋が見えて来た。橋の入り口から少し先に入った所に立つ、影のような色をした男性二人の横を通りすぎる。明らかに身なりの違う少女が横を通っても、彼らの目にその姿は映ってないようだった。少女は蒼白な顔に手を当て、一人叫ぶように佇んでいる男の前で立ち止まる。恐怖、不安、困惑、彼の表情にはあらゆる負の感情が渦巻いているように見えた。普通の人間ならなるべく関わり合いを避けたくなる風貌の男に、青いターバンを巻いた少女は迷うことなく声をかけた。
「こんにちは」
男は顔に手を当てたまま、物を見るかのように少女に目を向ける。口を開く様子は全く感じられない。
「なぜあなたは叫んでいるの?」
声にならない声を発している男。彼の顔では、突然に声をかけられたことにより困惑の色が濃く深くなっていた。見るからに特異なこの男は人から声をかけられたこともなく、奇異の目を向けられるか素通りされることが当然の事だったのだろう。
 答えに窮している男に、少女は自分の耳にかけられた真珠の耳飾りを街から吹く不気味な風に揺らしながら、もう一度聞く。
「ねぇ、どうしてあなたは叫んでいるの?」
このまま黙っていても、この場から去る気配もない少女から男は目を離す。そして彼女と同様に風に吹かれ、男は疲れたように言葉を出した。
「もう、答えは出ているんだろう」
「答え?」
男は再度青いターバンの少女に目を戻す。彼の目に力強さはないのだが、少女は重い圧力に気圧され半歩足を引く。
「なんだか君は、僕が何をしているのか知っているように見える」
男の言葉に少女は薄く微笑んだ。微笑んだという確証はないだけの小さな表情の変化だったが、男には確かにそう見えた。綺麗な容姿をしているが、気の強さを感じさせる微笑みらしきものを浮かべ、彼女はうなずく。
「ええ、知っているわ。私があなたについて理解していることが正しいか正しくないかはわからないけれど、私は知っている」
男はようやく自分の顔に当てられていた両手をおろした。恐怖や不安、困惑の感情は男の顔にそのまま残っていて、今はそこに疑問の感情まで重ね塗られているように少女には見えた。
「理解しているならそれで十分だろう。僕にかまわないでくれないか」
「あなたの口から答えを聞きたいの」
「残念なことだけど、僕は人に何かを伝えることはできない。そういう役目は僕にはない」
今度は確かに少女は笑った。
「どんな人でも伝えることは出来るのよ。そのために私達はいるんだから」
「じゃあ君も何かを伝えるために?」
「もちろんよ」
「何を?」
首を横に振る少女の耳で真珠の耳飾りが大きく揺れた。
「先に問いかけたのは私よ」
男は視線を下げ自分の足先を見る。その足先には橋の上に落ちた木の葉に噛り付く一匹の毛虫。その頼りない命の先が気になり、男にはさらに不安が募る。
「面倒な人だな」
「あら、そう?」
「僕が叫んでいる理由?」
「ええ」
「僕は別に叫んでいるわけではないんだよ。ただ僕を見た人が、僕が叫んでいると意識しただけ」
男の言葉に少女は黙ってうなずく。
「やっぱり君は知っているんだね。そうだよ、僕は自然をつんざく響きを聞いて、恐れおののいているんだ。だから叫んではいない。答えを知っている人に種明かしをしてもつまらないけれど、これで満足だよね。僕はこれからもずっとそれを聞いていなければならない。だからこれで話は終わり」
男から答えを聞いても、少女はこの場から去ろうとはしなかった。むしろこの男に興味を引かれているような表情を見せる。
「もういいよね」
街の方角から吹く生ぬるい血のような風に、男の声はかき消されそうになる。背伸びをした少女が、その言葉に手を伸ばしたように男には見えた。
「一休みしませんか」
少女は意味の掴み取れない言葉を発した。男は首をかしげて見せる。
「一休み?」
「こんなに淀んだ風の中で暗い思いを抱えていては、具合が悪くなってしまうでしょう。紅茶でも飲みながら体を休めませんか?」
思いもよらぬ提案だったに違いない。男は立ち尽していたが、彼の心を映すように彼の影は大きく揺れていた。見知らぬ人間から突然お茶に誘われるなど、悪い夢でも見ているようだった。自然の嘆き声と同じで、知りもしない人間からの誘いなど恐怖でしかない。
「迷惑でしたか?」
少女は初めて弱気な声を出した。男の顔色を伺うような表情。誘いを断り人を傷つけることを恐れ、男は蒼白な顔のまま声を出す。
「僕はここに立ち続け、自然を脅かす物事に対して恐れおののいていなければならない。これはとても大事なことなんだ。でも君のせっかくの誘いを断るのは、上手に焼けていないお菓子を自信満々の顔で差し出されるくらい辛い。生焼けのお菓子を食べるのは辛いし、それを理由に人の好意を陰で捨てるのはもっと辛い。だから少しの間だけなら、ほんの少しだけここを離れてみてもいいかもしれない」
一言で済む返答に、長々と理由を付けた男に少女は笑った。美しいのだが悲し気な笑み。
「変わった人ね。でも良かったわ。さぁ、行きましょう」
先に歩き始めた少女。彼女の頭部を包み込んでいる青いターバンが目を引き、男はオスロ・フィヨルドを望む景観から初めて離れることとなる。

 少女は一度も振り返らずに歩き続けた。まるで自分の後を男がついてくることを知っているかのような軽快な歩き。二人が距離を置き歩いているうちに、不気味な風は男に吹きつけることを止めていた。
 
歩き始めて数分かそれとも数十分経ったのか男にはよくわからなかったが、いつの間にか男の眼前には作り物のように美しい青空と草原が広がり、その中腹に一軒の家が建っていた。小屋にも見える家の前に立ち、少女は古ぼけ黒ずんだ鍵を取り出した。鍵を持っているということはここが彼女の家なのだろうが、常に不安を抱えている男は確認のために聞く。
「ここが、君の家なの?」
少女はまた微笑んだ。手でこすればすぐに消えてなくなってしまいそうな笑み。
「それって聞く必要ありますか?」
「だってこれは僕にとって、とても大事なことだと思うんだ。ここまで付いて来て今さらこんなこと言っても遅いかもしれないけど、君は多少僕の事を知ってるようだけど、僕は君の事を道端に転がる石が固いことと同じくらいにしか理解していないんだ。だから君がどんな人だか僕にはわからない。もしかしたら君はカフェで暖かいコーヒーを飲んでる老人を、後ろから叩きつけて鍵を奪うような人かもしれない。そして今その鍵を、さも自分の物のように出したところかもしれない」
少女の笑みに変化はなかった。
「たくさん話せるのね。例え私がどんな人間だったとしても、あなたが感じている脅威に比べたら私の問題なんてほんの小さなことでしょう」
少女は家の扉を開け、躊躇することなく中に入っていった。男はため息をつきその後を追う。自分の意思ではなく、そうするしか術がなかったのだ。
 
青いターバンを巻いた少女に案内された家の中は外観から察するよりも大分広く、男が今まで見たこともないようなものが木造の家の中にいくつも飾られていた。異世界に来てしまったかのように男は家の中を見回した。そうすると少女が開けっ放しにされた扉を閉めようとしたため、男は怯えたような声を出す。
「ちょっと待って。扉は開けておいて」
少女の頭の中に疑問が浮かび、その疑問を色付けすることなくそのまま口から出す。
「どうして?」
「おかしなことを言ってると思わないでほしいんだけど、なんかこの家は特別な感じがするんだ。別の世界に足を踏み入れた様な感じ。だから扉を締めてしまうと元の世界に戻れなくなりそうな気がして怖いんだ」
不思議そうな目を向ける少女に、男はまた口を開く。
「居心地が悪いってわけじゃないんだ。ただ君と同じでこの家も凄く特別な感じがして」
自分を傷つけぬよう気を遣う男。わざわざ男が嫌がることをする必要はないと、扉を開けたまま少女はキッチンに移る。男は畏怖しながらその姿を見つめていた。
「ハーブティーでいいわよね。いろいろ種類があるけど何がいいかしら?ローズヒップ、ローズマリー、タイム、それにカモミールにラベンダーもあるけれど、どういった紅茶がお好み?」
清掃の手が行き届いているであろう整頓されたキッチンに立つ少女は、どのハーブティーを飲むかの選択を男に迫り、その声には小さなトゲがあるように男は感じた。
「聞くまでもないよ。僕がハーブティーの種類なんか知るわけがない。その効能ならなおのこと」
「だと思った」
少女は笑った。大人びて見える知性的で強気な少女が見せた、初めての幼い笑い。人物画に描かれる無感情な女性のように見えていた少女に、子供のようないたずらっ気が見え、男の中で徐々に恐れは薄まりを見せる。
「やっぱり知らないと思ってたのに聞いたんだね。意地の悪い人だ」
「そんな言い方ないじゃない。私はせっかく美味しい紅茶を御馳走しようと思っているのに」
「ごめん。紅茶の種類は君に任せるよ」
「わかったわ。少し待ってて」
「うん、ありがとう」
男はこの家と同じ木で作られた椅子に座り、もう一度家の中を見回した。見たことのない観葉植物に見たことのない細長い絵画、それに依然見たよりも精巧になった地球儀の隣には乾いた土色の地球儀。テーブルの端にも見たこともない長方形の物体が一つ。分厚い敷物なのだろうか。この家にある物置かれている物の多くが見たこともないものだった。本当に別の世界に入り込んでしまったのかもしれないと男は思う。
 まるで答えの見えない考えを巡らせていると、少女が男の見たことが無い不思議な物を手に戻って来た。また未知なるものの登場だ。
「これは?」
「ハーブティーよ」
「こんなの見たことが無い」
「これはドナウキャンドルセットといって、キャンドルを使ってポットを温めているの。素敵な形でしょう」
「うん、綺麗だと思う。それに、優しいリンゴのような香り」
男の何気なく出した言葉を聞き、少女の顔には驚きが広がった。突然の少女の表情に男は身を固くする。
「どうしたの?」
「あなたがこのハーブティーの特徴を香りだけで当てたから驚いてしまって」
「当たってたの?」
「不思議ね、あなたには香りを嗅ぎ分ける才能でもあるのかしら」
少女はポットからマグカップに紅茶を注ぎ入れ、男は紅茶から登る湯気と共にカモミールの香りをもう一度吸い込んだ。
「上手くは言えないけれど、本当に優しい香り。癒されるようだ」
少女は顔をほころばせ一段高い声を出す。
「ねぇ飲んでみて」
少女の顔に喜びが見えたことが嬉しく、男は急いでマグカップを持ち上げた。
「熱いから気を付けて。ゆっくり飲んでね」
「大丈夫だよ」
男は口元にカップを当て、少女の言う通りマグカップの中に穏やかな流れを作り、優しさを感じさせる紅茶を口内に運んだ。ハーブティーは本当に熱かったが、カモミールの風味が広がり男は少し幸せに触れた気がした。そんな男に少女は聞く。
「どう?」
男はここでも迷う。この紅茶の香りを嗅ぎ取った時のように、少女をもう一度驚かせてやりたかった。美味しい紅茶を淹れてくれた少女に対する、せめてもの礼だ。だが先ほど以上の言葉は浮かばず、男は思った言葉をそのまま口にする。
「やっぱり優しいリンゴの風味がする。薄いけれど柔らかな毛布で心を包んでくれるような、落ち着く味」
少女は笑顔でうなずいた。自分の感想は間違ってはいなかったようで、男は安心する。カモミールの効能と同じく、全てを知っているような少女の不思議な笑顔も男に安心をもたらせた。
「あなたの頭の中にはハーブに関する専門書でも入っているのかしら。カモミールという学名はギリシャ語で「大地のリンゴ」を意味するもので、カモミールという植物からは本当にリンゴの香りがするんですって。そして心を包まれるようだ、という表現もカモミールの特徴を言い当てているわ。カモミールは不安や不眠に有効で、気分をリラックスさせる効能もあるの。そして別名では「植物のお医者さん」とも呼ばれていて、病気にかかった植物の近くにカモミールを植えると、その植物は元気になるとも言われているのよ」
「カモミールって凄く優秀な植物なんだね。凄いよ。そして君も」
「私も?」
「僕は今飲ませてもらってる紅茶の印象を思うがままに伝えただけ。でも君は僕のつたない言葉を本来のカモミールの効能と照らし合わせ、詳細な説明とともに僕に正解という印を与えてくれた」
少女は何も言わずに、もう一つのマグカップに注いだカモミールティーを飲んだ。
「素敵な風味。本当に疲れた心が包まれるよう」
「もしかしてこのカモミールって紅茶を選んだのは、僕のためだったの?」
男の言葉に、少女は躊躇することなく頷く。
「ええ、そうよ」
「でもどうして僕なんかに。それに君は僕の事をよく知っているようだったけど」
「質問を二つ重ねることはあまり良くないわね。問いがぼやけて伝わり、あなたの望む答えが得られなくなってしまう」
「ごめん。僕あまり人と話さないから」
少女は白く細長い指を立てる。
「それともうひとつ。僕なんかに、なんて自分を下卑するような言い方はしない事。それは絶対に間違いだから。あなたはあなたしかいないのよ。誰でも必ず大事な存在なの。そして私はそんなあなたを橋の上で見て、お話をして、美味しい紅茶を淹れてあげたいと思ったの。あなたなんかではない。あなたにね。橋の上で蒼白い顔をしているあなたには心身を落ち着かせるための休息が必要だと思ったから」
少女の淹れてくれた優しい香りが男の鼻に静かに届く。
「そうか。ごめん」
「謝ることなんかないわ。わかってくれればいいの。そしてもう一つの質問ね。確かに私はあなたの事を知っていたわ。ううん、違うわね。正しくはあなたの事を聞かされたのよ」
男はカモミールの優しい香りの中、目を広げる。
「僕の事、誰から聞いたの?」
少女は眉を上げ、何か考えているかのような顔を見せる。カモミールの香りに人の香りが混ざった気がした。
「黒い髪に黒い目、黒い服に、暗い背景を背負った女性に聞かされたのよ。橋の上で身動きできないほど恐れているあなたがいると。美しい顔に静かな笑みを浮かべた女性よ」
「僕はそんな人知らないな」
「私も知らない人」
「それでその黒の象徴のような女性は、君に伝えたんだね。橋の上に立つ僕を助けろと」
少女は首を振る。
「彼女はそこまで言わなかった。ただ橋の上にあなたがいることを伝え、そしてこの家の鍵を渡した。さっきも言ったでしょう、私はあなたと話して初めてここに連れて来ようと思ったのよ」
「じゃあやっぱりここは君の家ではなく、その女の人の家なんだ」
「たぶんね。わからないけど多分そうだわ」
マグカップを置き少女は男を見る。
「また私が怖くなった?」
恐れの雲を背負いきれないほど背負った男は、少女の予想に反する言葉を発する。
「不思議なことだけど、今は君に怖さを感じないな。知らない人と他人の家で紅茶を飲んでいるなんて、普段の僕からしたら考えられない状況だけど、うん、ここから逃げ出そうという気は起きていないよ」
「それなら良かったわ」
少女は空になった男のマグカップに紅茶を注ぐ。こういった物の扱いが多い暮らしをしてきたのか、それはとても手慣れた動作に思えた。心を開き始めていた男は少女に聞く。
「君はいったい誰なの?」
男が少女の内側に踏み込む問いを投げかけても、少女は全く動じなかった。自分の内面に入り込んできた何者かを受け入れるような笑み。
「あなたがあなたであるように、私は私。黒に似た世界の中で佇んでいたのが私。その私をさっき話した女性がこの世界に連れ出したの。ここであなたの存在を教えられ、あなたに会いに行き、半分強引にあの場所から連れ出し、あなたにカモミールティーを淹れてあげた。この世界ではまだそれだけの存在。でも私という形跡がどんなに小さくても私は私よ」
男は乾いた手の平を自分の胸に置く。
「わからないな。きっと君は君の知りうることを最適な言葉で示してくれたんだろうけれど、僕には君の言葉を理解しうるだけの能力が無いようだ」
「そんなことないわ。あなたは自然の嘆きに恐れを抱けるほど賢明な人だもの」
「そうなのかな」
少女は椅子から立ち上がり、再びキッチンに戻ると食器棚の隣に置かれた小さなケースから袋を取り出した。乾いた音を立て、袋の中身が丸みのある皿に落ちていく。カタカタカタ。その音に男はどこか遠くにいる家族の匂いを感じ目を閉じた。
 だが寂しい暗闇にも今日は薄日が差す。少女の小さな笑いが伝わり、男はすぐに目を開ける。
「目なんか閉じちゃって、どうしたの?」
「いや、なんでもないよ。ところでそれは何?」
男は少女が持つ皿を見た。
「何って、クッキーよ」
「クッキー」
「そうよ、クッキー。知ってるでしょ。クッキーと紅茶は良く合うの。食べてみて」
テーブルに置かれたクッキーを一つ指で摘まみ、男は口に運ぶ。
「美味しいよ。でも紅茶と合うのなら、どうして最初に持ってきてくれなかったんだい」
少女は強い目を大きく開け男を真っすぐに見る。そしてたっぷりと間を溜めて一言発した。
「忘れてたのよ」
こういった場合、どのような返答をすれば良いのか男にはわからず、ただ苦笑いを浮かべてみせた。
「ドジでごめんなさいね」
謝ってはいるが悪びれる様子のない少女に男は笑顔を見せる。
「謝ることは無いよ。こんなに美味しい紅茶とクッキーの食べさせてもらえて凄く嬉しいんだ。あの橋の上で叫ぶように佇んでいた僕に、これだけの素敵な時間を与えてくれるなんて本当に嬉しいよ」
「良かった」
少女もクッキーをゆっくりと食べ、紅茶を飲む。先ほどの男とは違い、本当に至福の時かのように穏やかに目を閉じる。その何気ない仕草は男に美を感じさせた。
「美味しいわね。本当に美味しい。それに、一つ大きくなったわ」
「大きくなった?」
「ええ、あなたに紅茶を淹れただけではなく、クッキーも食べてもらえた。そして一緒にカモミールティーとクッキーの織りなす美味しさを分かち合うことが出来た。これでまた、この世界での私の形跡が大きくなったわ」
「そんなことで喜ぶなんて、君は本当におかしな人だなぁ」
男の言葉に少女は力強く笑う。
「どんな小さなことでもね、人は大きくなれるのよ。出し忘れていたクッキーを遅れて出すだけでも、誰かがこぼした紅茶の雫を拭いてあげるだけでもいい。例えそれが他の人から見たら無価値なことであっても、あなたにとってそれに価値があればあなたは変われる。そんなことは無価値だって言われたからって気にしちゃだめ。こっちの世界の人達は周りの目を気にしすぎよ。人や世の中に害をなすことでなければ、他人の考えは本棚の隙間にでも詰めておいて、自分の視点を持つことも大事。思いっきり自分のしたいことをするの。『これが私なんだから文句ある?』ってね。だからあなたも、自然の声に耳を傾けるのもいいけれど、あなたのしたいことをすればいいと思うわ」
「したいことかぁ」
「何だっていいのよ。私のように紅茶を淹れるのもいいし、草原で一人のんびりするのもいい」
「そうか、そんなことでもいいんだ」
「そうよ。青い風が吹く草原に寝転んで手足を思い切り伸ばすの。あ、それに古い文庫本を一冊持っていけばもっといいわね。好きなだけ青空を眺め、草の暖かさに心をゆだねて、時に文庫本をめくるのよ。緑色の草が風にそよぐ音と、文庫本をめくる音。それって凄く素敵じゃない」
恐れを抱くだけだった男は、自分のこれからに目を向け高揚した声を出す。
「うん、それは凄くいいことだと思う。僕も今度それやってみようかな」
「でしょ。絶対やるべきよ」
少女は笑顔のまま観葉植物の上の壁にかけられた時計に目を向けた。その動きに何かを察し、男は皿の中に残されたクッキーを指さす。
「これとても美味しかったよ。だから残りは食べないでとっておいてくれないかな」
男の意図していることが伝わらず、少女は首を横に傾ける。
「これを食べないで残しておいたら、また君に会える気がしてさ。僕もどんな形跡を残せたか君に報告したいんだ」
少女の顔に優しさが広がった。
「そうね、是非聞かせてもらいたいわ」
男は自らの意思で立ち上がり、少女を見る。
「また会えるよね?」
強い笑顔で少女は答えた。
「あなたが会いたいと願ってくれるのなら、また必ず会えるわ」
 男は軽快な足取りで歩き出し、謎の女性の家から出た。
「今日はいろいろとありがとう」
男の声は一面の緑が広がる草原に消えた。
 
                        芝本丈

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よろしくお願いします。

2017年7月28日金曜日

人気ブログランキングの順位の伸び悩み

 私は小説を執筆するという仕事をしながら、なんとか時間を見つけ最近再開したブログの記事を書いてるわけだが、記事を上げる気力が半減するような問題に突き当たっている。それが人気ブログランキング内での私のブログのランキングの停滞だ。
 ブログを再開し始めて人気ブログランキングに登録したあたりの時は、記事をアップする度にランキングが上がっていたのに、今では記事を上げてもランキングは変わらずか、逆に順位を下げてしまうことまである。
 こういったランキングに参加していると、順位の停滞や多少の乱高下は付きものらしいが、順位が下がるとやはり悔しい。それも記事を上げて下がるのは筆舌に尽くしがたい悔しさだ。思わず叫びたくなるくらい。




 記事を50や100ぐらい上げてるのならともかく、まだブログを開始したばかりでスタート地点に突っ立ってるような私が愚痴を言う資格などないのかもしれないが、順位が下がっているのを確認してしまうとやはり悔しさが滲み出てくる。そのため、自分の人気ブログランキングのページに行くと、私は毎回薄目で赤い矢印があるかどうか確認する。上向きの赤い矢印があればランキングは上昇しており、下向きの青い矢印が表示されてやがったらランキング内での順位が低下したことを意味するため、恐ろしくて直視することが出来ない。気にし過ぎと思われるかもしれないが、私はこういったものに神経質になってしまうタチのため仕方ない。薄目でビクビクしながら見ようが、目をひんむいて見ようが結果に変わりはないのだけれど、私はそうしている。
だがそれでもやはり順位が低下していれば




  こうなるわけで。
 ここで文句を言うのなら、もっといいね!をされるような面白い記事を上げろと言われそうだが、面白い記事って何? ブログというものもなかなか奥が深い。

 
 そしてここで大きな問題がもう一つ。
明日、ドラゴンクエスト11が発売されるのだ。
 
 私はあまりゲームをする方ではないと思うが、このドラクエシリーズだけはほぼすべてクリアしてきた。(ほぼというのは、10だけは通信費など余計な金がかかることを知りプレイすることを諦めたのだ。毎月1000円だか2000円もかけてまでプレイする気はドラクエ好きの私でも起こらなかった)
 
 しかし今回は余計な通信費用も掛からないようなので、ただでさえ時間がない私でも手を伸ばしたい衝動に駆られている。しかも今回の作品はドラクエ発売30周年の記念作なのだ。これは往年のドラクエ好きなら何としてもプレイしたい作品だろう。
 だが先ほど書いたように人気ブログランキングの順位の低下も非常に悔しいため、今回はドラクエが発売されたことを忘れて、仕事に専念しその上でランキングの上昇を狙って行こうと考えている。ドラクエにはすまないけれど、今の私には11の世界を魔王から救う事よりも、仕事とランキング内の順位を守らなければならないため、今作は見捨てさせてもらうことにした(実は見捨てた理由がもう一つ。それはドラクエ9で行われた技名の変更だ。メラゾーマをメラガイアー、イオナズンをイオグランデまではまだなんとか許せた。でもバギクロスをバギムーチョはないだろう。やる気が失せるほどの酷い技名だ)

 なので、私はこれからもブログの更新は出来るだけ続けて行こうと思っている。よし、頑張ろう。あと昨日からなぜかテンション高めの記事で私らしくなかったので、次の記事からは大人しく書いていこうと思う。


(もしも、もしも更新が滞っていたなら、「あ、あいつドラクエ11にも手を出したな」と思っていてください。手を出すことはないはずですけど)

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すすきのという街


   すすきのという街


 北海道内で一番の繁華街と言えば、それは間違いなくすすきのである。居酒屋やバーはもちろん、カフェに、娯楽施設に、性風俗店、なかには少数性的嗜好者のための店もしっかりとある。楽しもうと思えばいくらでも楽しめる街だ。
 ただそこはやはり繁華街。危ない店もチラホラあるとの話は、すすきのとはだいぶ縁遠くなった私の耳にも届く。お酒を度を超えて飲んでしまったり、羽目を外し過ぎてしまう方には注意が必要かもしれない。まぁおかしな客引きに引っかからないようにしてさえいれば、すすきのは安全な繁華街なので十分楽しめるだろう。
 
    ・すすきのの変化
 これはすすきの好きの多くの方が感じていると思うのだけれど、すすきのに来る客質の低下が酷い。失礼な言い方かもしれないが、子供のまま大人になってしまったような客が本当に多くなった。中学生にも見えるようなあどけない顔をした大人たちが、街中で「いやぁ俺昨日もナンパして女を何人か…」とか「俺が指名したキャバの子が俺のこと離してくれなくてさー」とか、武勇伝か何か知らないけれど街中でいきがっているのを見ると、何だかお酒を飲む前から悪酔いしてしまいそうになる。大人の容姿はしているけど実は大人になりきれていない子供が、すすきのに来ることを否定しているのではない。事実か妄想かは知らないが、そんなくだらない話は自分たちの輪の中でしていればいいことで、大好きなすすきのの街を歩く私のような人間を巻き込まないでほしいのだ。あと最近は日差しも強くなって気持ちいいのかもしれないけれど、街中で突然「ウェーーイ」とか叫び出すのも止めてもらいたい。そういう猿のような行動は巣があるなら巣で、ないならしっかりと山に帰ってから仲間たちと好きなだけ叫べばいいことであって、私のようなまともな神経を持った人の近くでするべきではない。いくら叫ばれようが私は猿のエサは持ち合わせてはいないのだから。
 まだまだ言いたいことはたくさんあるのだけれど、書いていたらきりがないのでこの辺で客質についての話は止めようと思う。

 で、もう一つのすすきのの変化は、客質の変化に伴ってのことなのかはわからないが、すすきのの店で働く人間たちの質の劣化だ。私が大人になったからそう感じるのかもしれないが、とにかく、とにかく、とにかく、店員の質が悪い。言ってみれば、飲み屋で働いてる子どもがたくさんいるのだ。子供がすすきのに勢いだけで店を出し、そこに子供がわんさとやってくる。日本での客商売上、客に対して最低限の礼や態度は必要だと思うが、客が「ウェーーイ」なら店員も「ウェーーイ」なのである。猿の惑星ではなく猿の街だ。ニッカの看板を前に膝を落とす私。


「ここはすすきのだったのか」

 いや、街が変わっていくのは仕方がないことだとは思う。自分の大好きだった街が変わってしまったからといって嘆いても仕方ない。しかし変わることと失うことはまるで意味が違う。今のすすきのは昔から持っていた怪しさを失ってしまったように私は思う。自然と身を引き締め歩いていた怪しい街が、今では子供や猿が我が物顔で闊歩している。
 多くの人が訪れることが出来るようになったのは良いことだけど、やっぱり私は残念な気持ちが強い。本来のすすきのが持っていた形、色を失ってしまっている。そしてそれがすすきのに戻ることは、きっもうないのだろうと私は思う。

こりゃどうしようもない。

2017年7月23日日曜日

影踏み

 やはりブログ更新のペースが落ちて来た。ブログ開始当初は毎日更新するはずだったのに、仕事に追われすでに二日も開けてしまっている。これ以上ブログ更新を間延びさせることは出来ない。だが何かを書いている時間も今の私にはない。といことで、今回も私は卑怯な手を使わせてもらう。読み物作戦だ。仕事の合間に遊び感覚で書いていた、実在の人物を勝手にお互貸した私の創作作品を載せておくことにした。実は前回載せた武さんとさんまさんの話が意外と好評だったため、これももしかしたらという期待はある。では、ご賞味あれ。


         ・影踏み             「マツコ&有吉」
「この人たちみんな陽の目見ないで消えてくんだよね。しかも半数の人はそれに気づいていながらも諦めることが出来ない。悲しいねー」
重く冷たい声が新宿駅西口に響いた。
 たむろするかのように歌うストリートミュージシャンたちの訝しむ目が一斉にこちらに向けられる。その視線に耐えることが出来ず僕は下を向いた。僕のスニーカーの先には大きな影が一山。路上でくすぶっていた火にガソリンをまき散らし、路上を闊歩するように歩く男が一人。カメラの前ではないため彼の服装は大人しいが、それでも彼は化粧をしワンピースを着ている。白と黒ではなく、あえて言えば灰にくすんだ白と黒の暗いボーダーのワンピースに、また暗い灰色のカーディガンを合わせている。男性が女物の服を着ているだけでも人目を引くのに、彼は女装という様式よりもずっと特徴が強い人間だ。もしも彼が女を捨て男の格好で街を歩いたとしても、やはり多くの人は彼を意識するだろう。彼は一般的な日本人と比べるととても大きく、そして図太い。まるで大地を悠々と歩くアフリカゾウのよう。彼にはそんな気は一切ないのかもしれないが、僕は彼が歩いてくる姿を見るだけで敵意を感じてしまうほどだ。もっと言えば今僕のスニーカーの先を歩く、この影からですら敵意が溢れんばかりだ。それに…いや、この辺で止めておこう。僕は彼が嫌いではないし、付き合いの長い同業者だ。頭の中であっても悪口を言うことは避けたい。
僕は彼の背中に一歩詰め、スニーカーで彼の大きな黒い影を踏んで歩く。こんなことをしても気分は晴れないが、彼をけなさない代わりにこれぐらいの遊びはいいだろう。
「ねぇ、どこにする?」
影を強く踏みつける遊びを始めた僕に、彼の鋭い目が向けられる。彼の言葉から察するに、僕の遊びがバレたわけではなさそうだ。彼が僕を殴りつけるようなことは無いだろうが、それでもそっと胸をなでおろす。
「マツコさんが行きたい店あるんでしょ?そこでいいですよ」
「いや、私の行きたい店西口じゃなかったのよ。あんたが勝手にテクテク歩くから間違っちゃったじゃない。もうどうすんのよ」
彼はあからさまに面倒臭そうな表情を見せた。そしてその面倒臭さの裏には疲れや呆れも見て取れる。彼のミスで西口に出てしまったのに、ただ付いてきただけの僕にこれほどの負の感情を含んだ顔を作る大男。一言いい返したい所だったが、それで彼が余計にこじらせてしまうことはやっかいなため、僕は健やかな笑顔を見せる。
「間違えちゃったんですね。それなら戻るのもあれですから、その辺の店に適当に入っちゃいましょうか。今日平日だから空いてる店くらいあるでしょう。ね」
彼の機嫌を損ねないための渾身の笑顔だったが、どうやらそれが彼の反感を買ってしまったらしい。彼は真っすぐにに口を結び、僕を見下ろす。
「何よ、その顔。いら立ちが見え見えじゃない。そういうのを皮肉な顔っていうのよ。ホントいやらしい人。それに何よ、適当な店に入っちゃいましょうって。私たち今日初めて二人きりで飲むのよ。それなのに適当な店って言う事ないじゃない。どうしてそういう言葉口にするの、信じられない。私飲むのやめて帰ろうかな」
彼は自分のミスを棚に上げ怒り出した。それじゃあ今日は帰りますか、という言葉を飲み込み、僕は屈託のない笑顔に困惑の影を微かに浮かべ、彼をなだめる。
「何言ってるんですか、ここまで来たんだから飲みに行きましょうよ。お互い忙しいからこんな機会なかなかないですよ。僕もマツコさんと飲みたいですし」
「本当にそう思ってくれてるの?」
彼は急に内気な声を出した。全然彼らしくはないが、本来彼はとても繊細な人間で、それを隠すために荒々しいキャラを演じているのかもしれない。きっとその方がマスコミやテレビ受けがいいのだろう。真面目なオカマをテレビに出してもどうにもならない。とにかく今がチャンスだった。今こそ手綱を引きムチを打ち込むべき時だ。二人の中で自分が上に立たなければ、今夜の飲みは地獄と化す。優位に事を進めるのだ。
「当たり前じゃないですか。ホラ、グチグチ言ってないで行きましょうよ。僕が知ってるお店紹介しますから」
「うん、わかった。それじゃあ行こうか」
暗い返事をする彼の手を引き、僕たちは人波を避けるように新宿駅から歩き出した。
 
僕は彼を連れ創業20年は経つ居酒屋に入った。この居酒屋は売り上げもそこそこのはずだがチェーン展開は一切しておらず、新宿に根差した名店だ。純和風の居酒屋で肉料理、魚料理問わず何でも美味いのだが、偏食の巨漢マツコは肉も魚も頼まずに、日本酒をかっくらい卵料理だけを食べ続けていた。後輩芸人がこんな偏った食べ方をしていたら、酒を楽しむ場とはいえ僕は説教をしていたであろうが、彼に対してそんなことをする気は一切起きなかった。自分の身の安全が一番なのだ。
「あんた最近どうなのよ」
偏った物を食べることにふけっていた彼が突然口を開いた。彼の突然の質問に、僕はワサビの良く染みた肉を口に運ぼうとしていた手を止め、質問に対する答えを考える。「最近どうなのよ」これほど難しい質問はないだろう。どう答えても彼がそれを寛容に受け止めてくれるとは思えない。例えばだ、例えば僕が彼の問いに対して「うん、最近調子いいですよ」と、無難な答えを返したとしよう。すると普通の人間なら「あ、調子いいんだ。良かったね」くらいの返答で終わるだろう。だが僕の隣で卵を食べている彼はきっと違う。「調子いい」という言葉にも、彼ならひと悶着付けてくることだろう。きっとこんな感じ。「調子いいって何。それじゃ私に何も伝わらないじゃない。何、何が調子いいの? 仕事?人間関係?それとも男女の関係? だいたい私ならお金周りが良くたって調子いいって思うわよ。調子いいって言葉は曖昧すぎるの。何でそんな曖昧な言葉一つで返そうとするの。私会話のスタートにしようと思って話振ったのよ。それでそんな答え返されたんじゃ、私どうすればいいの。『あぁ、そうなの』って私が言ったらそこで会話が終わっちゃうじゃない。ちょっとはコミュニケーション取ろうとする努力しなさいよ」 こんなことを言われてしまってはせっかくの酒がとてつもなく不味いものになってしまう。酒を前に不快な思いはしたくない。僕は覚悟を決め神仏の前で禊をする思いで口を開く。
「最近はようやく楽しくなって来たって感じですかね。番組も長く続いてくれてるし、仕事の方もかなり安定してきましたからね。10年前が嘘のようですよ」
マツコはガラス細工のような酒器を傾け、酒を飲む。いや、飲むという表現は正しくない。彼は酒を飲んでいるのではなく、ただ胃に流し込んでいるかのように僕には見えた。器の中を空にし、彼は今日初めて僕を友好的な目で見る。
「そうよね、私もまさかここまで人生が順調に運ぶとは思わなかったわ。人目に晒されることを避けられなくなる、多大な犠牲は払ったんだけどね」
彼がまともなことを言ったので、僕はうなずいた。
「うん、外で何するにしても人の目は気になりますよね。僕だってそうなんだから、マツコさんならなおの事でしょう?やっぱ目立つし」
僕から思わず出た軽口に、彼の動きは一瞬止まる。卵料理を咀嚼していた口の動きを止め、僕を見た。今僕は見たと言ったが、実際にはこれも語弊があるように思える。彼の人を見るという行為は、ある意味威嚇に近いものがあるのだ。事実、彼は今僕を見据え威嚇をしている。何故僕はお酒を飲みながらこんな苦痛を味わっているのだろう。
 僕は身を固くしたが、彼の威嚇は僕から彼の口内へと移り、すでに飲み込めるまで小さくなった卵料理を更にかみ砕き始めた。ビールでそれを流し込み、彼は何とも皮肉めいた眼で僕を見る。捕らえられた囚人の気分になり、僕は低く首を沈めた。
「新しい番組、楽しめてる?」
「かりそめのことですか?」
「そうよ、新しい番組ったらそれしかないじゃない」
「僕は結構楽しめてますけど、マツコさんはそうじゃないと?」
彼は大きな体の上に乗った顔を小さく振って見せる。
「楽しめてるのよ。楽しめてるけど、視聴率も下がってるし、なんかこれでいいのかなって思ってさ」
「あー、やっぱり視聴率は怒り新党の時よりかは下がってるみたいですね。三大調査会がなくなったのが痛かったですね。あれ僕も好きでしたし」
隣に座る彼が一瞬膨らんだように僕には感じられた。横っ腹につまようじを刺したい衝動に駆られる。
「でも一番痛かったのはあれじゃない?」
「何ですか?」
「夏目ちゃんの損失」
ワサビの風味に混じりけのない悪意が乗り、僕の鼻を強く打つ。何故ここでその話題を出すのかと、僕は呆れる。だがアルコールに背中を押された彼の口は止まらない。
「夏目ちゃん可愛いし賢かったのに、どうして辞めちゃったんだろうね。もったいない」
いやらしく笑う彼を無視して、僕は最後の肉を口に運び、この嵐が過ぎ去るのを待つ。下手に手を出せば大怪我をしてしまうだけだ。
「彼女さえいれば怒り新党だってまだ続いてたと思うし、かりそめだってここまで停滞しなかったと思うんだ。意外と彼女が番組の屋台骨だったのかもしれないね」
ビールを一口飲み、彼は僕の背中に丸い手を置く。
「つらいわよね。どうしてこうなっちゃったのかしら」
僕は耐えきれず口を開く。
「もうこの話題止めません」
「あら、何か気に障ることでもあった」
僕は無理に半笑いの表情を作り、絞り出すように声を発する。
「もうその話は過ぎたことですし、今は二人で楽しくお酒飲んでるんですから、そういうのは止めにしませんか」
「怒ってるの?」
「怒ってないですけど、ちょっと僕も不快には思っちゃいますし」
彼は僕の背中から手を放し、三敗目のビールに口を付けた。
「うん、わかった。あんたが嫌ならこの話は止めにする」
「嫌がること承知で話してたでしょう」
ジョッキの中のビールを水のように言に流し込み、彼は僕に強い目を向ける。ただ強い眼光にも拘らず、その目には彼が普段常にまとっている敵意は無いように感じられた。不思議な目。
「この話は止めるけどさ、あんた最近なんか引きずってるんじゃない。上手く言えないけど、前に比べて今のあんたは陰気よ。陰があるわ、陰を引きずってて暗いのよ」
「そうですかね」
彼が言いたいことが全く分からないわけではなかったが、確信を隠す言い方に背中がむず痒くなった。
「辛いことがあったのかもしれないけどさ、陰気な気持ちでいたら駄目よ。物事何てそうそう上手くはいかないの。悔しい思いだってたくさんする。でもそういう苦難を乗り越えていくのも人生の楽しみの一つなんじゃないの。生まれた瞬間から勝ちが決まってるどこぞのお坊ちゃま達より、私たちの方がずっと裕福に生きられるの。だから楽しんでいきなきゃだめよ」
どうやら彼は僕を励ましてくれているようだ。そのために今日僕を飲みに誘ってくれたのかもしれない。僕は皿に残っていたサラダを箸でかき集め、一気に口に運ぶ。サラダという前菜の姿をしていた野菜に付着したドレッシングは思いのほか辛く、彼の言葉と同じ味がした。
「お坊ちゃま、嫌いですか」
「大嫌いよ。祖父母やら両親から安全に確実に成功する道を与えられて、その道をベビーカーに乗ってお世話係さんにでも押させてさ、おしゃぶり口に付けたまま大人になって、偉そうに私達を見下してさ。自分の足で歩いたこともない癖に最低」
僕は素直に笑う。
「怒ってますね。それで、そんなやつらと僕らは違うと」
「当たり前でしょ。親のコネも金もなけりゃお世話係さんだっていないし、未舗装の道を自分で開きながら歩いてんだから全然違うわよ」
ビール三連続の後で頼んだ、場違い甚だしい桃で作られたカクテルを彼は一口で飲み干し、アフリカゾウの足のような首を振る。
「違う違う。話はずれたけど、私たちはそうやって生きてるんだから怪我だってするわよ。つまずいたって仕方ないわ。つまずいてドブに落ちて泥だらけになったってね、それを糧にして進んで行くの。それでいいの。こっちは必死に生きてんだから、笑いたい奴らは笑わせておけばいいの」
温くなったビールを飲み、僕は口を開く。
「ああ、最後までは言わないんだ。進んだ道の先には輝かしい景色が見えてるわよ~とか」
「そんなことまで私が言ったら格好悪いじゃない。輝かしい景色なんて言葉、私らしさが微塵もないじゃない」
僕は肩を思い切りたたかれ椅子から転げ落ちそうになるのを堪え、彼を見る。
「じゃ、どんな景色が待ってるかはわからないけれど、とにかく転んでも怪我しても暗い顔してないで前に進めってことですね」
「そういうこと」
少し気分が良くなった僕は、彼のように残っていたビールを一気に飲み息を吐く。そして続けて嫌味も吐く。きっとそれが僕らしいから。
「ありがとうございました。気を使ってくれたんでしょ。優しいですね」
僕の言葉が聞こえない振りをしてそっぽを向く彼の脇腹を、僕はこちょばしてやる。すると、アフリカゾウが跳ねた。
「うぎゃっ、何するのよ」
体格からは考えられないほど俊敏な動きを見せた彼は、僕を思い切り叩いた。ただ笑っていただけの僕の頭を思い切り叩いたのだ。彼をからかうことは、鎌倉時代の殿様の前で放屁をするように命がけだ。それでも僕は再度笑いながら彼の横腹に手を伸ばし、彼はその手をハエのように叩き落とした。
 その後も僕らは何度か笑い、店を出た。理由は全く分からないが、支払額の3分の2は僕が持つ羽目になったが、文句は言わなかった。もういいのだ。
夜の風に吹かれ、僕は彼の背中を見ている。本当に小山のような背中。厚い脂肪の乗る背中に僕がほくそ笑んでいると、小山は動いた。
「排ガス臭いとか言われてるけど、やっぱり新宿の空気はいいわねー」
彼の言葉に僕はうなずく。
「うん、言われるほど臭くはないよね」
僕の短い返答に詰まらなさを覚えたのか、彼はまた口を結び前を見る。彼が無表情で眺める道路を走っていく車は、やはり高級車が多い。吐き気を覚えるほどの高級車の列。僕のいた地元では決して見れなかった光景だ。赤信号で止まったら、一台蹴りを入れてやろう。これだけ高級車が走っているのだ、一台くらい蹴ったって文句は言われないだろう。
「意外と楽しかったし、もう一軒行っちゃおうか」
高級車のライトに照らされる彼に、僕は答える。
「もう一軒? 僕けっこう酔いが回ってるんですけど」
僕の言葉に彼の顔は一瞬で歪む。
「あぁ、そう。じゃあ帰ろっか」
ふて腐れ歩き出した彼の影を踏み、僕はわざとらしく慌てた声を出す。
「ウソウソウソウソ、僕ももう一軒行きたいです」
彼は振り返り、70年代前半のアメ車のようなふてぶてしい笑みを見せる。
「でしょ?」
太い一言だけを残し、彼はまた歩き始めた。僕は首を少し曲げ夜空の下に広がる新宿の明かりを見る。もはや見慣れ切ったけたたましい光に、僕は目を細めた。きっと彼はこの夜のように、僕がどれだけ泥にまみれても変わらずにいてくれるのだろう。
 僕は偶然足先に転がっていた小さな石ころを蹴り上げ、先に歩き出した彼の背中を探した。彼の影を踏むことは、悪くない遊びだ。もう少し付き合ってやろう。

芝本丈

2017年7月20日木曜日

ブログのアクセスを伸ばすには

再びブログを始めるにあたり、私なりにいろいろとブログのアクセス数を稼ぐ方法を調べてみました。
五年ほど前からブログを続けている友人に聞いたり、ネットの海を泳いで貝殻を拾うように有益そうな情報を集めてみたけれど、それらを全てこなしていくのは今の私ではかなり困難なことのように思え頭が痛くなってしまいました。だけれど、またブログを始めるなら過去のような失態は避けたい(失態は星の数のようにありますがそのうちの一つが、半年以上ぐログを続けてもアクセス数が100すらいかなかったことなど)。
ということで、未だにネットに不慣れな私でもできそうなことを友人などに聞きましたので、ここに書いていこうと思います。
まずは本当に基本的なことから。きっとこんなことはブログをやられている皆さんならとっくにご存知のことなのでしょうが、一応私のような初心者様もこのブログに目を通していただけることを願って書いておきます。
・記事の投稿回数を増やす
・旬の話題を記事にする
・敵を作る
上記のことがブログのアクセス数を伸ばすのに必要なことだそうです。
記事の投稿回数を増やすなんてことは基本中の基本ですよね。しかしここで間違ってはいけないのが、下手な鉄砲数打ちゃ当たる作戦は駄目だということ。一つの記事につき最低でも600文字から2000文字は必要とのこと。そしてその中に少しでも多くの有益な情報を詰めることが大事なのだそうです。文字数が100文字や200文字の記事では短すぎますし、ブログを見てくれる読者にとって無益な情報しかないのならその記事には何の価値もないのだそうな。まぁ確かに全く知らない赤の他人が、暑くて仕方ないから涼みにカフェに行ったなどと書かれても、読み手側としたら「だから、何」ってことですよね。そして文字数が少なく無益な記事ばかり量産していると、Googleなどの検索エンジンからの信頼が落ち検索結果で上のほうに記載されることはまずなくなってしまうようです。厳しいものですね。人からだけではなく、検索エンジンからも「お前の書くものなんぞ無価値だ」なんて言われた日には、パソコンを引き裂いて川にでも投げ捨ててやりたくなりますよ。
そいで次は、旬の話題を記事にするということ。こんな基本的なことばかり書いてアホかと思われるかもしれませんが、一応書かせてください。
 これは私は結構簡単なことだと思うのです。なぜなら、旬の話題などいくらでも転がっているでしょう。なるべく検索されそうな旬の話題を拾い、自分なりの言葉と感性でその話題を記事にしてやればいい。例えば今なんか松居一代と船越英一郎のことを記事にしてみたらいいのではないですかね。連日連夜狂ったようにテレビでも放映され私はもうお腹いっぱいですが、マスメディアとは違った切り口の記事があれば、辟易している私でも読んでみたいと思うと思います。ですから、大事なことは旬の話題を拾っても、それをそのままブログにアップするのではなくて、独自の視点から見た記事を書いていくことが必要なようですね。
 そして最後の三つめ。敵を作るです。これを最初友人から聞いた時には彼は何を言っているんだろうと思いましたよ。わざわざ敵など作る必要などないじゃないかと、根っからの平和主義者の私はこんなろくでもない発想を思いつく彼の人間性まで疑ってしまいました。しかし、よくよく話を聞いてみれば彼の考えに納得しました。アクセス数を伸ばすには敵を作ることも必要なビジネス条件なのだと。
 前置きが長くなってしまいましたが、何を言いたいかというと最近流行りの炎上商法をしなさいということです。ネットの性質上、火は付きやすく燃え広がるのもまた早いですから、自分の書いた記事を炎上させるのはコツさえつかめば結構簡単なことのようです。もちろんそれは、ある程度アクセス数を稼げているブログであって初めて可能なことで、今の私のブログのようなアクセス数がほとんどないに等しいブログでは、火をつけても燃え広がってアクセス数が増えることもないでしょう。
 ですが、アクセス数の少ないブログでもディスり続けていれば、徐々に火が広がっていくかもしれないので皆さん頑張ってディスればいいとのことです(先ほども申しました通り私は平和主義者でございますので、決して炎上商法を推奨はしていません。敵が増え傷つくことは避けたいですからね)

 仕事の合間を見つけて、うだるような暑さの中このブログを書いてるため、さすがに疲れてきて最後のほうがグダグダになってしまい申し訳ないです。本当はもっと書きたいことがあったのですが本日はこれくらいにしておきます。
最後までお読みいただきありがとうございました

Twitterのつぶやき

ブログの記事ではなくツイッターのつぶやきのようだけれど、愚痴を一つ。
私は現在札幌が生活の基盤なのだが、今年の札幌はとにかく暑い。もう嫌になってしまうほどだ。
我々人間もそうだが、お天道様にも限度と言うものをわきまえてもらいたい。
ここは、北の大地北海道の札幌ですよ。その札幌で連日の30度超えや、しまいには今日の最高気温34度ときたものだ。そして私の部屋にはエアコンと言う文明の利器が無く、煮えたぎる様な暑さになるため(いや、本当に)私はペンを放り出して、今日一日をカフェ巡りに費やしました。砂漠のように乾燥しきった財布から泣く泣く命の綱の夏目漱石を一枚取り出し、心と体を休めてきました。
だが悲しいことに、この暑さは収まることなく今日以降も続くらしい。文章を絞り出すのに暑さは大敵だ。早くこの夏には過ぎ去ってもらいたい。
ただ、夏が走り去った後に着々と忍び寄ってくる冬も私は苦手なわけだけど。

2017年7月16日日曜日

小説とは

先日まで私の専門とはかけ離れた記事をUPしていたので、そろそろ私の本業に関することを書いていこうと思っております。私は最初の記事で札幌在住の文筆家・小説家と書きましたが、腰の入れ方からすると現在は文筆家というよりは、小説家としての側面のほうが強いと思います。ということで本日は、私が愛し、そして日々悩まされている小説についての話を少し書いていきます。
 小説家がどんな仕事をして、収入を得てご飯を口にしているは、みなさん当然ご存知でしょう。もちろん小説を書くことが仕事です。当然のことですね。小説家がペンを持って踊ったって一銭も稼げませんから。名前が売れ上手いことテレビ出演などのチャンスがもらえている小説家以外は、主に日々パソコンと向かい合い、自分の頭の中で創造した物語を小説として書いていきます。(どんな話を書いていきたいか大筋が決まっても、すぐに書いていくとこはできません。しっかりとプロット構成を立てなければ、物語が途中できしみを上げ崩壊してしまいます。ですが、この辺の話は今日は置いておきます)

     『小説とは一体なんぞや』
 皆さんが大まかに理解されているだろう小説という言葉にも、実は定義というものがあります、それは、
  ・文学の一形態であり、作者の構想を通じて、人物や事件など、人間社会を描き出そうとする話の筋を    持った散文体の作品。
と、されています。もう少し簡単に言えば、散文で書かれた虚構の物語であり、一定上の長さと複雑さを持ち、ある特定の状況下で人間がかかわる一連の出来事を通じ、その上での人間の経験が書かれたものなのです。
 私が人に物事を説明する上での言葉の扱いがまだまだなのか、こうして言葉に表すとより一層理解に苦しみ、言葉の海に沈み込んでいきそうになりますね。まぁなんとか私の説明で、小説という掴めるようで掴めない雲のような言葉に興味を持ち、近づいてくれれば嬉しい限りです。
 ちなみに説明の中で何度か登場した散文という言葉の説明をしておきます。散文とは、小説や評論のように、5・7・5などの韻律や句法にとらわれずに書かれた文章のことです。
 ということで、私は意外とややこしい定義を持つ小説を書いていく仕事をしているわけです。今年の札幌は例年以上に暑く、想像上の出来事や人間たちを動かしていくのに大変苦労しているところでございます。
 しかし、こういった暑さを体感できることを当たり前のこととは考えず、日々の出来事に感謝し一歩一歩邁進していこうと考えている私であります。
 一語一文に悩み、苦しめることも、幸せの一つと感じられるようになれば、それほど嬉しいことはないのかもしれません。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

2017年7月15日土曜日

ブログのアクセスを増やすには2

せっかくブログをやるのなら、できるだけ多くの人に読んでもらいたいという欲望を抑えられず、アクセス数を伸ばすために奔走しております。文筆家、小説家として穏やかにのんびりと、自分の暮らしでもつづっていければそれで良いと考えていたのに、私はいったい何をやっているのだろうと悔やんでいます。
 ただね、自分の身の心配もなく、こうやって何かに悩めることも幸せなことだと思い、仕事の傍ら冷たいお茶でも飲みながら、頑張ってみようと意気込んでいる私であります。
 さて、昨日は「ブログのアクセス数を伸ばすために」、と題して3つの試案を長々と語ってきました。
それがこれ。
・記事の投稿回数を増やす
・旬の話題を記事にする
・敵を作る
この3つを紹介しただけで私は疲れ果ててしまいペンを置いてしまいましたが、今日はこれの続きを書いていこうと思っております。(こんなことをするためのブログではなかったのに、本当に私は何をやっているのだろう)
 私は文筆家、小説家という立ち位置にいますが、人にものを説明することが得てして苦手としているため、まずはブログのアクセス数を伸ばすために必要なことを箇条書きしていこうと思います。
『タイトルに関連する事項』
・タイトルには検索されたいキーワードを入れること
・タイトルは27文字以内にする
・タイトルには数字を入れる
・検索時に読者が自分に必要な記事かどうかわかるタイトルにする
・どういったものが得られる記事なのかを判別しやすいタイトルにする
・検索されやすいキーワードを選びタイトルで使用する
『SEOに関連する事項』
(SEOとは検索エンジン最適化を意味する言葉であり、検索結果でWebサイトがより多く露出されるために行う一連の取り組みのことを指します)
・記事数を増やし文字数は最低でも600文字から2000文字
・なるべく簡単なURLにする
・アンカーテキストは使用するべき
・キーワードは適度に入れる
・記事のカテゴリーはしっかりと分ける
・外部リンクを張る
・更新回数を増やす←大事です
『ブログの記事に関する事項』
・なるべく有益な情報を含ませ、そのうえで話題性のある旬の記事を載せる
・日記のようなことは書いてはいけない
・自分が興味のあることを記事にする
・あまり記事の趣旨がばらけないようにする
・誤字脱字はもちろんのこと、文章構成にも注意が必要
・季節のことや、お祭り花火などのイベントに関する記事も挟むとよりよい
・時事ネタはアクセス数を伸ばすうえで重要
と、こんなところです。昨日書いたこともちらほらと混じっていて重複してしまっていますが、その辺はご勘弁を。
 ブログ初心者でも簡単にできるようなことを書いてみたつもりですけど、結構数が多くなってしまいましたね。上記の全てをいきなり実践していくのは難しいかもしれませんから、私は一歩一歩前進していこうと考えております。なお上記の他にも、ツイッターのフォロワー数を増やすことや、はてなブックマークに掲載されることも大事なんだとか。
 登り始めた山の頂はかなり遠そうですが、私はゆっくりと登っていくことにします。山道で私を見つけた際にはひと声かけていただけると嬉しゅうございます。
次回からは普通にブログを書いていこうかな。
では、また。
最後までお読みいただきありがとうございました

再度出発です

毎度のことながら、最初の記事を書くのに数日経ってしまった。
理由は簡単なこと。最初が肝心と考え、気の利いた、面白く、ためになるような事を書こうという願望が顔を出してしまったため、いつものように苦悩を重ねていた。
自分で自分の事はよく理解しているつもりであるが、自分の欠点がこうもあからさまに露呈してしまうと、我がことながら恥ずかしく、テーブルに顔をうずめたくなる。私の欠点とは、まさに格好つけである。自分という人間をより良いものと見せたくなってしまうのだ。そしてそんな格好つけな部分が顕著に表れてしまうのが、言葉を文章に表す時だ。優れた文筆家や小説家にはこんなことは起こらないのかもしれないが、私はパソコンに向かい文章を打つときにどうしても格好をつけてしまうようだ。
大して価値のない言葉の羅列を、有価値な文章に見せようとあがいてしまう。このあがきは間違いではないのかもしれないが、このブログは私の息抜きのために始めたものだ。そのため私はこのブログの場では、札幌のしがない文筆家・小説家という重しを下し、気楽に日々の出来事でもつづっていけたらと思う。
結局最初からわけのわからない記事になってしまったが、まぁスタートはこんなところでいいだろう。肩の力を抜いて気楽に続けていければいいな。
お読みいただきありがとうございました

新作の販売が開始されました

お久しぶりです。シバジョーです。 いやいや、何ヶ月ぶりですか? 久しぶりすぎて、何を書いたらいいのかわかりません。 あっ、突然戻ってきたのはですね、ようやく作品が完成したからなんです。 昨日からキンドルで発売が開始されています。 ※URLを貼ろ...